第727号『ブランド主義』

【ロゴマーク】

ボクはブランド信者である。
ブランドがマーケティングの目眩まし的な騙し技だとは思わない。
お客様はそれほど馬鹿ではない。
玉か石かを見分ける目を持っている。

いいものは売れる。
ボク自身いろいろと試して、傷にはバンドエイドだし、スピーカーはBOSEに落ち
着いたし、たい焼きなら人形町の柳屋、牛丼は吉野家を選ぶ。

ブランドは信頼の印であり、名前やロゴマークを確認し安心する。
もちろん、機能面の信頼性を外して語ることはできないが、それ以上に訴えかけ
てくるものがある。
それは、感情を左右し、多くの人の決断を促す心の揺さぶりである。
こうして、あらゆる商品やサービスはふるいにかけられる。

そして、ボクはボク自身がブランドになれるよう仕事をしてきた。
人がブランドになる?
人をあたかもモノのように見るのはどうなのか・・・
そう思う方もいるかもしれない。

でも、考えてみれば、昔から職人(ボクの父も時計修理職人としてそうしていた
ように)は、仲間と世間の評判を大切にし、日々の修行を怠らず、仕事に誇りを
もち、自分の腕一つで稼いでいた。
これこそ、言い換えれば自分ブランドではないか。

だから、仕事というコトバの使い方には細心の注意を払う。
例えば「これはボクの仕事じゃない」とか、「この仕事をこなす」という言い方
を不用意に使う人が気になる。

自分の名前をブランドにするということは、やれといわれた仕事をいやいやする
ことではない。
お客様のために、価値ある商品やサービスを創造し提供することである。
そのために、お客様を共犯者?にし、熱狂的なファンにし、口コミ宣伝マンにし、
生涯の友にすることだ。
仕事とは、お客様がいて、始めと終わりがあり、社会にとって少しでもよいもの
を生み出すことだ。

青臭いと言われようが、ロマンチストと言われようがかまわない。
斜に構え評論することなど退屈なだけだ。
青臭くない志はないし、世の中を斜に構えてことを成した人を見たこともない。

ボクはボク自身の人生の主役である。
上手くいくこともあるし、ぶちのめされることもある。
成功するにせよ、失敗するにせよ責任はすべて自分にある。
誰のせいでもない。

人生は気まぐれで、理不尽で、横暴だ。
それでも、ボクはボクの人生を生きるしかない。
もし、お前はどんな生き方をしているのだと問われたら、「ボクの仕事を見てく
れ」という他にない。