第771号『朝練』

【愛用のスイムキャップとゴーグル】

火曜日の朝は、恒例のスイムトレーニングの日である。

いつもなら5時までぐっすりと眠るのだが、珍しく3時前に喉が渇き、水が飲み
たくなり目が覚めた。

すぐに、喉が痛く身体もダルいことに気がついた。
一度はベッドから起き上がったものの、身体がふわふわした感じで所在がない。
どうやら、風邪をひいたようだ。

昨年までなら、無理にでもトレーニングに参加していたが、その結果故障も多
かった。
身体に負荷をかけすぎないことも、今年の目標の1つにしてはいるので、悩んだ
末に休むことにした。
しかし、たった1日休んだだけなのに、罪悪感と共に、なんだかリズムが崩れた
ような気分になった。
数ヶ月続けてきた朝練習の流れがルーティーンになっていたからだろう。

火曜日のスイムトレーニングは、昨年の秋から週1回のペースで続けている。
理由は、あまり得意ではないスイム、その苦手意識の克服と、今年5月に出場を
予定しているトライスロンのレースに備えてのことである。
加えて、早朝からのトレーニンを終えた後の爽快感も魅力である。

朝5時に起き、簡単に食事を済ませ6時には家を出て、最寄り駅から横浜駅まで
移動する。
横浜駅西口から徒歩で20分弱歩き、横浜西区にあるスイミングセンターに向かう。

7時20分には、スポーツセンターの門がオープンする。
所属している横浜トライアスロン研究所の仲間たちと、コーチの指導を仰ぎなが
ら、7時30分から9時まで、しっかりと泳ぐ。
普段は1000メートルから1500メートル。
多いときには、2000メートルほど泳ぐ。
蹴伸びやスカーリングなど、一連のドリルを行ない、最後にオープンウォーター
(海泳ぎ)に適したフォームでのインターバル。

プールから出て、シャワーを浴び着替え、そして仕事場へ向かう。
途中、横浜駅につながる繁華街の通りで、朝方まで飲んでいたであろう若者たち
とすれ違うこともままある。
持て余すほどのエネルギーは、どう使ってもそれぞれに自由だ。

僕も若かりしころ、あんな醜態を晒していたこともあったなと、自省しながら
「それにしても、なんだかもったいない」と、老人の戯言をつぶやく。
でも、その一方では、ちょっとした(まだまだ負けないぞ、という)自負心と、
ニタリと薄ら笑いをうかべ(黒い?)優越感に浸っている僕もいた。