【MLB】
開幕以来、TVに映し出されるその勇姿に釘付けだ。
チームで最高の選手は、エースとして投げ、かつホームランを打つ。
これはリトルリーグの話ではなく、高校野球の話でもない。
日本の最高レベルの選手たちが集まるプロ野球チームで野球の概念を変えるほど
のことをやってのけた大谷翔平は、そのとてつもない才能で、今度はメジャーリ
ーグでも実現しようとしている。
大きな重圧と多くの注目を受けながらも、大谷翔平はまるで子供がゲームをする
ときのような無邪気な笑顔と、一心不乱な真剣さを持ち続けている。
193cm、97kg。
大谷の投げ方は優雅だ。
2016年のシーズン、彼の速球は日本野球史上最も速い165km/hを記録した。
左バッターとしても、流れるような、そして大胆なスイングで、150mを超えるホ
ームランをいくつも記録している。
そのもてる才能を、いまアナハイム・エンジェルスでも現実のものとした。
さらに、大谷は走ることもできる。
バッターボックスから1塁に走るのに3.8秒しかかからない。
それはビリー・ハミルトン(シンシナティ・レッズ)とディー・ゴードン(マイ
アミ・マリーンズ)というメジャーリーグで最速の2人、そしてイチローともほ
ぼ同じスピードだと、ある記事で知った。
野球殿堂入りをしている伝説の選手ベーブ・ルースとよく大谷は比べられるが、
ルースはそんな速さでは走れなかった。
大谷は2億7000万円のファイターズからの給料を含め、お金の管理は両親に任せ
ていた。
母親は彼の金銭感覚を養うために、毎月彼の個人口座に10万円を振り込んでいる
という逸話を聞いたことがある。
しかも、彼はそれもほぼ使わないという。
2016年に改定されたメジャーリーグの外国人選手獲得のガイドラインによると、
25歳以下の外国人選手にチームが払える限度額は300万ドル(約3億5000万円)
から400万ドル(4億5000万円)の間。
もしも、彼があと仮に2年待ち25歳になれば、どんな条件でも契約できる。
そうすれば2億ドル(約220億円)を払うチームも現れただろう。
そうした事柄をかなぐり捨ても、彼は今年海を渡り、メジャーリーグという最高
峰で自分を試すことを選んだ。
いまの、日本の政治、経済、世相、社会のありようのどこをみても、せこくて・
卑怯で・みっともない。
そんな日本人の一人であることに、少々くたびれ、がっかりしている。
しかし、彼の清々しくも純粋に我が道を求める姿を目の当たりにして、僕も含め、
多くの人(特に大人たち)が救われているのではないだろうか。
シーズンは始まったばかり、好不調の波もあるだろうが23歳の日本の若者、大谷
翔平くんに、これからも心からの賞賛の拍手とエールを送り続けたい。