第836号『痛みとの会話』

【キネシオテープ】

9月29日(日)雨のち晴れ。
今シーズン、最後のトライアスロンレース『第
10回横浜シーサイドトライアスロン大会』に
出場した。
なんとかゴールはできたものの、不本意な内容
だった。
ともかく身体が重い、明らかに練習不足だ。

それにしても今年はアクシデントが多かった。
6月のレースでバイクでの転倒、落車。
右の大腿部・肋骨・脇腹を痛めた。
夏には回復はしたものの、なんだかいつまでも
痛みを引きずっているような状態でいた。
さらに、8月のアクアスロン(スイムとラン)
のレース後、3年前に発症した梨状筋(お尻の
奥にある筋肉)が痛みだし、パンツを履くのに
も一苦労した。

痛みがあると、人は概して臆病になる。
初期の痛みが、ある程度収まってきても(また、
痛みがぶり返すのではと、おっかなびっくりで)
動き出すのに勇気がいる。
さらに、「これ以上続けると故障してしまう」と
いう思い込みが潜在意識に入ると、かえって故障
しやすくなるという悪循環も起こると聞いたこと
もある。
こうして、トレーニングの回数が減っていった。

しかし、しばらく身体を動かさずにいるとムズム
ズしてくる。
ともかく、汗をかいてスッキリしたい。
なんとかならないかと、あれこれ考えた。

長年、競技スポーツを続けていれば、誰しもなん
らかの痛みは抱えている。
その痛みと、どう付き合っていくかだ。
そんなふうに考え方を変えてみた。

じっとしていても何も変わらない。
だから、自分の身体を使って、実験してみること
にした。

筋肉の仕組みや、痛みの要因などについて、文献
や整体師をしている知人に教えてもらいながら、
少しづつ試してみている。
僕の場合、これはいいなと思った方法が2つある。

1つ目は、痛みを引き起こしている筋肉の凝り固
まり箇所(トリガーポイント)をとること。
具体的には、トリガーポントに圧をかける。
テニスボールを梨状筋に充てがうようにして、ゴ
リゴリと圧をかけて揉む。
これを1日に2から3回、3分間続けた。

2つ目は、泳ぎ、走り、自転車を漕ぐこと、そし
てストレッチを十分にすること。
つまり、運動を再開することだった。
運動開始時には多少の違和感もあったが、ランも
バイクも、それぞれの動きのなかで我慢できない
ほどの痛みはない。
むしろ、汗ばむくらい身体を動かしたほうが痛み
は消えた。
これは、運動をすることで血流が良くなり、痛み
のある部分の酸欠状態が解消するからだと、教え
てもらった。

今回、痛みと向き合うことで分かったことがある。

痛みとは、身体からの一つの情報である。
つまり、その情報をどう捉えるかで、意味が変わ
ってくる。
例えば、自分にとって危険なものだと認識すれば、
余計に痛くなる。
しかし、「この程度なら大丈夫」と理解すれば、
痛みは感じにくくなる。
おそらく思い込み(プラシーボ効果)という、脳
の作用と連動しているのだと思う。

ともあれこうして、徐々にトレーニングを再開す
ることができ、なんとか今年最後のレースには間
に合った。

さて、来シーズンに向けどんなトレーニングをす
るか?
これから、じっくり身体と語り合いプランを立て
てみようと考えている。