第995号『続・アキレス腱断裂リハビリ日記』

アキレス腱断裂の手術から18週目である。そして、14日日曜日に開催される「2023 ワールド トライアスロン チャンピオンシップ シリーズ 横浜大会」に出場することにした。まだまだリハビリの最中ではあるが、担当医やリハビリ指導医とも綿密に相談しての結論である。もちろん、最悪の事態として再断裂のリスクは有る。その危険を回避しながら身体を動かすことで、再生の(スポーツなどの活動をしたほうが、治癒が促進されるという仮説)進捗を確認したい。こうした実証実験を兼ね、参戦することに決めた。

前回、ファンサイト通信988号『アキレス腱断裂リハビリ日記』では(第一段階【1月13日手術翌日から1週目まで】から、第四段階【3月7日】5週目~7週目まで)お伝えした。

今号では第五段階目の8週目から、レース参戦の決意に至るまでのあれこれをお伝えしたい。

第五段階【3月14日】8週目から11週目まで:アキレス腱装具(ギプス)除去し、全荷重歩行練習から片脚カーフレイズ開始まで。

治療プロトコル(手順)の通りであれば、8週目にギプスを外す予定であった。しかし、小さな手順ミスで1週間先延ばしになった。このミスは僕にとっては小さなものではなかった。膝下が四六時中拘束されている状態のからの開放が延期になったのだ。このときばかりは心底がっかりした。この状況は言っても変わらない。ならば、次へと気の取り直した。そして翌週の9週目、遂に無事ギプスを外すことができた。この時の開放感は久しく味わったことのないものだった。こうして、9週目からはリハビリも次の段階に移行する。両脚カーフレイズ(踵上げ)に、片脚カーフレイズが加わる。しかし、手順通りにはいかないのが世の常である。未だに片脚で踵を上げることが出来ない。これが、出来ないとランニングでの蹴り出しが弱くなる。加えて、手術箇所を中心に幅10センチ、厚み2,3ミリのゴムバンドで足首が締め付けられていうような感覚も残る。残念ながら現状では、左足の踵を上げるために筋(バネのような役割)が未だに繋がっていない。さらに、鉛のような錘(おもり)を付けて走っているような気分である。

第六段階【4月4日】12週目から18週目まで:ジョギング開始から・・・。

入院時に渡されたアキレス腱断裂腱縫合術のプロトコルによれば、12週目でジョギング開始。そして、それ以降の項目がない。車のナビで「目的地周辺です。案内を終了します。」と言われたものの目的地がどこなのかわからず、放置されたような気分に似ている。何しろ、歩くこともまだまだスムーズではないし、階段の上り下りもギクシャク感がある。このまま時間が経てば治っていくということか・・・。そもそも、治るということがどのような状態を指すものか?怪我をする前と同等になるのか?それとも歩行や軽いジョギングならなんとかなるという程度のことなのか?もともと、手術をして治療することを決めたのも、トライアスロン競技への復帰のためである。その目的が達成されるのか?と、一気に不安が高まった。

トライアスロン競技への復帰が出来るのか?という不安を取り除くには、その要素と要因を言語化し見えるようにして、その見えた問題を具体的に1つ1つ取り除くのが一番。一計を案じた。名付けて[2023 ワールド トライアスロン チャンピオンシップ シリーズ 横浜大会」出場プロジェクト大作戦]。このテーマを担当医とリハビリ指導医に投げかけてみた。考えてみれば、そもそも彼らは身体問題解決のプロである。であれば、標準的な治療手順ばかりではなく、こちらからテーマを提示すればきっとその最適解を導き出してくれるはずだ。そして、実行してみた。5月14日のレースに出るためにどうすればいいかと・・・。予想通り先生方のスイッチが入り、リハビリのギアが一段上がった。

4月に入りプロジェクト大作戦のためのリハビリと併せ、横浜トレイアスロン研究所代表の滝川コーチからのアドバイスをうけながら、スイム・バイク・ランのトレーニングも徐々にではあるが重ねてきた。残念ながら、パフォーマンスとしてはまだまだ怪我をする前の半分以下。それでも、なんとか泳ぐことも自転車を漕ぐことも、ゆっくりではあるが走ることも出来るようになった。

今回、大会に参加することはあくまでリハビリの一環として、先生方からの許可をいただいた。だからリスクがあればいつでもリタイアする前提での出場である。とはいえ、そもそも人間の身体はそんなにヤワではないと思っている。自分の本性が怠け者であることを誰より知っている。だから自堕落に放置すれば、それに見合ったような姿になる。困ったことに姿形だけではなく心も萎える。

トライアスロンという競技を通して僕が得たもの。それは、すべからく続ければなんとかなるということだ。師曰く、”あきらめたらそこで試合終了ですよ・・・。”

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