第996号『続 続・アキレス腱断裂リハビリ日記』

14日(日曜日)開催の「2023 ワールド トライアスロン チャンピオンシップ シリーズ 横浜大会」に出場した。前号995号の流れを受け、今号のファンサイト通信ではアキレス腱断裂の手術から18週目、リハビリを兼ねたレースの報告をしたい。

朝4時30分起床。カーテンを開けると天気予報の通り、雨模様のどんよりとした空。その上、肌寒くも感じる。ひ弱な気分になるが気を取り直し、いつもの手順(ルーティン)通りに行動する。起床→顔を洗う→体重を量る→体温と血圧を計る→着替える→ストレッチと体操→散歩とラン(アップも)→着替える→朝食を摂る→トイレ。この間、あまり深く考えずにこの流れに身を任せる。概ね、6時ころには一通り終了する。

レース前には、こうした自分なりのルーティンと禁酒を概ね1週間程度取り入れている。その中身はご覧の通り、極めてシンプルなものである。今回のレースはスタート時間が11時12分と遅い。トイレやランとアップ(心拍数を上げることでスイムで楽になる)など、会場でバタバタすることを極力避ける意味でも事前に自宅で済ませておく。地元、横浜開催のアドバンテージである。

結果から申し上げると、なんとか2時間の制限時間以内にゴールすることができた。因みに、僕がエントリーしたのは昨年同様、70歳以上でのスプリント25.75キロ(スイム:750メートル バイク:20キロ ラン:5キロ)のカテゴリー。

以下、今年と昨年のデータである。
2023年。
スイム:20分13秒、トランジッション(スイムからバイクへの移動タイム):7分36秒、バイク:53分47秒、ラン:34分43秒、トータル:1:56:19秒。70歳代11位。

2022年。
スイム:19分56秒、トランジッション(スイムからバイクへの移動タイム):5分03秒、バイク:47分58秒、ラン:28分00秒、トータル:1:40:57秒。70歳代2位。

さて、今回のレース模様をお伝えしたい。

11時12分スイムスタート。山下公園の海上に特設されたポンツーン(浮き桟橋)からドボンと入水する。水温19度。ウエットスーツを着ていてもその冷たさと雨で濁った海水で、真っ暗な世界に放り込まれ一瞬息が詰まる。以前、入水後直ぐにパニックになったことがあった。しかも、5秒毎に後から後から選手が泳いでくる。必然的に混み合い、腕や脚など身体がぶつかる。これも泳ぐリズムが崩れ、息が出来ずにバタバタする原因の一つだ。ここは慌てず、止まって周囲を確認し、空いているエリアへ泳ぎながら移動する。3つあるブイの最初のブイまで10分以内に通過できないと足切りとなる。息を整え100カウントを数える。100ストロークすれば100メーター以上は移動する。こうして、不安と向き合うのではなく、カウントしている今の自分に向き合うことでリズムが生まれる。2番目と3番目のブイを氷川丸と平行に泳ぐ、ここまでくると少し安心感がでてくる。そして、3番目のブイを回ればゴールまで一直線。しかし、この日はここから潮の流れがあり、なかなか進まなかった。結果としては、昨年とほぼ同等のタイム(23年:20分13秒/22年:19分56秒 )で上がることができた。

スイムからバイクへ。この大会の会場である山下公園は横に長い。スイムから次のバイクを置いてある場所まで700メートルはある。裸足ということも考慮し、ここは小走りではなくアキレス腱への負荷を考え歩いて移動する(23年:7分36秒/22年:5分03秒 )。バイクへの移動もいつもより慎重に動いた。回転数も90以上にならないようにし足首への負荷を減らし、なるべく踏み込まないようにした。(23年:53分47秒/22年:47分58秒 )雨上がりということもあり、コーナーの曲がり角は滑らないよう速度を落とし注意をしながら走ったことも、昨年と比べタイムがかかった要因だ。

バイクからランへ。ともかく不安だった。バイクを20キロ乗った後、走れるのかと・・・。自転車を所定のラックに掛ける。両隣のバイクはすでに掛けられおり、ライバルたちはランへと移動している。しかし、慌てずランシューズに履き替えランキャップをかぶり、自分の脚と相談するようにまずは歩きながら一歩一歩と動いてみる。しばらく歩くのとジョグを交互に繰り返し、これならなんとかなりそうだと確信し歩くに近いジョギングペースで走る。ランコースではレンガ倉庫を横目に見ながら通り、象の鼻から坂を上り下り、バラ園を回ればじきにゴールだ。(23年:34分43秒/22年:28分00秒 )

ゴールへの直線にはブルーカーペットが敷かれている。仲間や妻の声援が後押しになる。リハビリはまだ数ヶ月は続くが、次のステージにつながる可能性と勇気をもらえたレースであった。最初にトライアスロンを始めたのは1987年タイ パタヤビーチ大会でのロングディスタンス。あれから30年以上も続けているが、今回は格別だ。間違いなく、いままでで一番嬉しいゴールだった。

6件のフィードバック

  1. 鉄人レースでのリハビリ
    流石です
    完走おめでとうございます

    1. ありがとうございます。まだまだリハビリは続きますが。

  2. レースに伴走しているかの
    ようにトライアスロンの
    楽しみを
    感じることができる
    ありがとう
    TV中継に映るかな^^
    と、期待して眺めていましたが、、

    1. 福澤先生、ありがとうございます。もう少し頑張れそうです。

  3. 流石の文章力に、ドキドキしながら最後まで読ませていただきました。
    完走、おめでとうございます。
    2時間以内の完走をされたことに、
    ただ、ただ、尊敬です。
    怪我を経てのカムバックで、心の強さは、前回を超えている気がしました。

    1. 小田切さん、ありがとうございます。今回、レースを通して感じたことがあります。それは、完走するための様々なトレーニング方法も必要だけれど、それ以上に大切なことは、どんな想いでいかにしてゴールのテープを切るのかというプランを描けたことでした。ハウツー先行の時代だからこそ、改めて実現したい物語を描くことの大切さを感じることができました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です