歳を重ねて一番変わったものは、味覚かもしれない。例えば、刺身が以前のように美味しく感じない。なんだか生臭く、食感も、ぬるりとした舌触りが苦手だ。だから、魚は焼き魚にして食べる機会が増えた。さらに言えば、甘味。以前は酒の旨みが消えてしまうように感じ、遠ざけていた。ところが、どうしたことか最近、自分は甘いものが好きだということに気がついた。甘いものといっても、チョコレートやクリームのようなべっとりとした甘さではなく、さらりとしたの甘さを好む。端的に言えば、「あんこ」が好きなのだ。
先月、思い立って自分であんこを作ってみた。単なる好奇心からだ。材料は小豆と砂糖と塩を少々、これのみである。小豆は北海道産のものを近くの乾物屋さんで、砂糖はスーパーに置いてあるサトウキビが原材料のものである。参考にしたレシピは『暮しの手帖』に掲載されたものを使った。しかし、その出来上がりとしては小豆の硬さが少し残り、且つ、甘さもいま一つもの足りないものとなった。残念ながら、失敗作。
妻はこの時期、札幌在住のお料理研究家の高橋やすこ先生とネットを繋ぎ、オンラインで味噌作りを教えてもらっている。昨年仕込み完成した味噌が、あまりに美味く(文字通りの手前味噌ですね)、今年も味噌作り講座に参加することにした。先生との事前のやり取りの中で、妻が僕のあずき作りの失敗談をやすこ先生にお話した。すると、味噌作りに併せてあんこも作りましょうと、材料を送ってくれた。
当日、妻は味噌担当、僕があんこ担当ということで取り組んだ。
さて、あんこ作りの手順である。
・300gの小豆を洗い、寸胴に小豆と4から5倍の水で15分ほど沸騰したお湯で煮る。
・このお湯を流し台のシンクで水道水を流しながら捨て、新しい水に入れ替える。
・再度、強火で小豆を煮る。沸騰してきたら中火にし、灰汁を取りながら小豆の量と同じくらいの水位になるまで煮る。
・この時点で、砂糖を半分入れる。そしてへらで鍋に焦げ付かないように、ゆっくりとかき混ぜる。
・あんこの艶が出てきたら、残りの砂糖を入れる。そして塩を少々。
・丁寧に混ぜ、寸胴からバットにあんこを移し、粗熱を取る。
こうしてなんとか、あんこが完成した。お茶を用意し、まずは、あんこの実食。艶のある小豆色の一匙を口に運ぶ。滑らかな口当たり。コクもあり、甘さも上品である。これはイケる。普段使いのデザートなら十分に通用すると、妻からもお墨付きをもらった。
これから定期的にあんこ作りをしたい。さらに、もう少し腕を上げたら、今度はもち米とのアレンジなどにも挑戦してみたい。
2件のフィードバック
「今度はもち米とのアレンジなどもにも」→「今度はもち米とのアレンジなどにも」
「も」が一つ多いです。すみません。職業病です。
あんこ、いいですね。私は昔から粒あんが好きです。母は桑名出身でしたので、実家帰りによく「赤福」を買ってきてくれました。あんこと餅とお茶。「赤福」は粒あんじゃないけど最高です。
校正ありがとうございます。「赤福」美味しいですね。こしあんも好きです。