企業ウェブサイトのプランナーという仕事柄、いまでも多くの時間を割いて、様々な企業サイトを訪問します。
仕事を始めたころはネットサーフィンと称して、ただ闇雲に見てまわり、時おり知人や友人が薦めるサイトを眺めていました。
こうして脈絡もなくあちらこちらと回遊しているうちに、時々とても気持ちのいいサイトに出会うことがあります。
そのウェブサイトは、企業がお金をかけて作ったサイトよりは、むしろ個人で営んでいるネットショップのようなところで出会うことが多いように感じました。
その気持ち良さはなんだろうと思いながら見て行くと、そこには共通するいくつかの要素が浮かび上がりました。
いずれも、お客様目線に徹し、使いごごちやサイトを運営している側の息遣いが手に取るようにわかるものばかりでした。
ようするにお客様の気持ちと立場に立って作られたサイトなのです。
まだまだ漠然としたものでしたが、こうして出会ったいくつかの気持ちのいいサイトの要素を抜き出し、再現可能なものを整理統合できなかいと試行錯誤を繰り返してみました。
こうして「ファンサイト」の初期の形態がおぼろげながらできたころ、幸運にもこの考え方を導入した企業ウェブサイトのプロジェクトを開始することができたのです。
そのサイト名は「極楽クラブ」。
2001年4月にオープンしたキリン・シーグラム社(現在キリンディスティラリー株)のウイスキー、ボストンクラブのファンサイトプロジェクトに関わったことから始まります。
単に会員数のボリームだけではなく、このファンサイトを通して、お客様と企業がどのような関係を作り上げていけばいいのかというヒントも数多く体験することができました。
この体験を通し企業ウェブサイトの「ファンサイト」には、ある種の法則のようなものが潜んでいることも徐々にわかってきました。
下記は弊社の企業サイト分析の基準軸にもなっている項目の中からいくつか抜粋したものです。
・ 更新頻度が高い。
・ メールレスポンスが早い。
・ 独自性がある。
・ サイト制作者の顔が見える。
・ 企業の思いいれがある。
・ オリジナリティがある。
・ お得感がある。
・ 会員登録フォームがある。
・ BBS(掲示板)やブログがある。
・アンケート応募フォームがある。
当初想定していたボストンクラブ有飲者数が20万人。
ボストンクラブのファンサイト「極楽クラブ」はそのコアなファンを獲得しようと始まった企業ファンサイトでしたが、立ち上げから2ヶ月後の6月には会員数3万5千人、2004年暮にキリンビール社のサイトに統合され、幕を閉じた時には17万人にまでなりました。
これは想定していたほぼ全有飲者数に近い数字ということです。
振り返ってみると、結果としては17万ものファンが集うサイトになりしたが、本当に成功したと思えたのはその数ではなく、おもだったコアのファン方々をはじめ、多くの方にとって、居心地がいいと感じていただけたからではないかと思います。
その要素を要約したものが、ファンサイト成功の5か条です。
その1 サイトに名前(ネーミング)を付けるべし
その2 ターゲットを絞るべし
その3 案内役(コンシェルジュ)を立てるべし
その4 ユーザーが活躍できるステージを用意すべし
その5 ユーザーを自立させるべし
ファンサイトとは何か?
なぜ「極楽クラブ」が企業ウェブサイトのファンサイトとして成功できたのか?
その根底にあるのはお客様とどのように向き合うかという極めて、アナログな手触り感や制作側の熱のようなものが伝搬するかどうかではないかと思います。
そして、この「極楽クラブ」での体験を通して生まれたのが弊社の理念「ファンサイト宣言」です。
□ファンと熱気を共有できているか
□ ファンがほしいものを知っているか
□ ファンをえこひいきしているか
ひとまず完