第292号『弟との約束』

【雲と夏と夕日】
【雲と夏と夕日】

7年前の7月、脳腫瘍で弟を亡くした。
彼が46歳の時だった。
同じ親から生まれ、同じ水を飲み飯を食い、血が流れている。
弟と僕との間にどれほどの違いがあろうか。
僕が脳腫瘍になってもおかしくはなかったと、いまでも思う。

針の先ほどの偶然の仕業で、生と死が分かれていることを間近に感じた。
それまで、自分の本当の勝負の時はまだまだ先にあって、いまは力を蓄える時だという気分が強かった。
明日はないかもしれない。
暢気な気分でいた僕も、いまやらなければ、いま立って闘わなければ、という気持ちが強くなった。

人知を超えて、何かに突き動かされたからかも知れない。
それを運命と呼ぶのだろうか。
天災であれ、個人的な出来事であれ、自分の身の回りにそれまで当り前に存在していた連続性が切断されると、習慣や思考方法が変化する。

50歳で起業して7年目。
もちろん起業にいたる要因は、いくつかあった。
勤めていた会社が二進も三進もいかなくなったことも原因の一つではある。
しかし、なんといっても、弟の死と立ち会わなければここまで出来なかっただろう。

ファンと熱を共有し成長する企業ファンサイトを具現化したい。
ファンサイトという考え方をファンサイトという社名を賭けて取り組み、そして多くの方々にお伝えしたい。
これは、どうしてもやらなければならないことである。
なぜならば、弟との約束でもあるからだ。

駆け抜けて 夏雲ながれ 七回忌
明日、7月12日は弟の命日である。合掌

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