第336号『壊れ始めている』

【廃屋】
【廃屋】

問い:下記の文中の(  )に該当することばを入れなさい。

「つい七十五年ほど前には、アメリカの(  )産業は、抜け目のない証券市場から、絶対に間違いのない投資先と思われていた。ヨーロッパ各地の王室は、アメリカの(  ) 産業に膨大な金を投資した。数千ドルを集めて(  )産業を買った人には、神の祝福として永遠の富が約束されたと考えられた。スピード、融通性、耐久性、経済性、さらに成長可能性から観て、(  )に匹敵する輸送形態はなかったのである。」

[自動車]と答えた方が多いのではないだろうか。
正解は、鉄道である。

実はこのテキスト、1960年代ハーバード・ビジネス・レビュー誌にマーケティングの巨人、セオドア・レビットが発表したものの一部である。
いまGMやクライスラーの現状を見るにつけ、実に似たような現象が繰り返されていたことが分る。

では、これから先、車はどうなるのだろうか。
確実に電気自動車が台頭してくるだろう。
例えば、米国ベンチャー、テラス・モーターズ。
2008年に発売した「ロードスター」はスーパーカーを凌ぐ加速と400キロにおよぶ航続距離を達成。
すでにレオナルド・ディカプリオをはじめ、300台近くの納品実績も持つ。
さらに、驚くのは、創業5年でこの「ロードスター」を発売したエロン・マスクCEOはIT業界出身で自動車業界の経験はない。
恐らく、これからアメリカは勿論、中国、インドなど様々な地域と異業種企業が続々参入してくるだろう。

巨大な帝国を築いてきた自動車産業の失敗は、どこにあったのだろうか。

T・レビットは50年も前、こうも言及している。
「自動車メーカーは消費者のウオンツなど調査してなかったのである。
前もって自動車メーカーが売り出そうと決めていた車のうち、どれを消費者が好むかを調査していたにすぎない。自動車メーカーは製品中心主義であって、顧客中心主義ではなかった。」

いままさに、産業構造の基本的な枠組みが劇的に壊れ始めているのだ。

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