畏友T君が、自ら命を絶って7回目の冬を迎える。
高校入学早々、同じクラスで席次が1つ前という偶然の出会いだった。
病気のため、遅れての入学だったこともあり2歳年上の兄貴のような存在だった。
映画、音楽、文学、政治経済と様々な分野に長じていた。
ローリングストーンズが大好きで、澁澤龍彦と三島由紀夫を敬愛し、時折、経済誌(月刊エコノミストだったと記憶しているが)に投稿し掲載もされていた。
弘前大学医学部の学生で、当時赤軍だったAとの一歩も引かない議論はいまだに記憶に残っている。
T君は、そんな級友だった。
誰もが疑うことなく、学年でトップクラスだったT君の大学進学を信じていた。
しかし、T君はまったく違う道を選び、僕たちの前から姿を消した。
そして、1年後、またもや偶然に東京で再会した。
その時、T君はすでに社会人、僕は一浪してなんとか美大に滑り込み、学生生活を始めたころだった。
それから数えて30年以上、永きに渡る付き合いだった。
それぞれにいくつもの出来事があり、そのたびに酒を飲み、 たわいもない言葉を交わし、頷き、お互いの近況を語り合 った。
ファンサイトを起業する決断に迷っていた。
その時も、T君は黙って頷きながら、話しを聞いてくれた。
そして、帰り際、一言、僕に言った。
「いろいろあるだろうけど、どんなことがあっても俺はお前の味方だぜ」と。
心に滲みた。
正しいことをいわれるよりも、受け入れてくれることのほうが、どれだけ救われるかを実感した。
自らの命を絶つ少し前、電話で新しい職場がしっくりこないと、めずらしく愚痴をこぼした。
暮れには飲もうと約束し、電話を切った。
今度は、僕がT君に話す番だった。
「どんなことがあっても、お前の味方だぜ」と。
いま、誰もが不確実で自信の持てない時代に生きている。
頑張っているのに、成果をなかなか実感できない。
企業の前線で、それこそ満身創痍で戦っている人、そして人生の森で道に迷っている人に伝えたい。
自分の人生は自分でしか生きられない。
それは、自分に残された時間を精一杯生き抜くことだ。
あの時、T君の言葉で背中を押され、起業を決意したからこそ、いまがある。
精一杯生き抜くこと、それが友、T君への弔いでもある。
友逝きて 落花を急ぐ 白椿
合掌
お知らせ
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