第441号『掃除という名の修行』

【中庭の植物たち】
【中庭の植物たち】

アトリエのある横浜金沢区の集合住宅が、いま大補修工事の真っ最中である。
築30年を過ぎてはいるが、管理組合の尽力もあり、数年毎に外壁やベランダの塗装、その他、設備の保守・管理など、定期的に実施し、とても手入れの行き届いた住宅である。

今回は全戸に渡り、普段なかなか手の入れにくい、天井裏や床下の配管を点検し、リニューアルするという大掛かりなものである。
割り当てられた4日間、納戸と風呂場、そして洗面所の床と天井が剥がされ、家中に塵とホコリが舞い込んだ。

1月末、浜町アトリエから横浜アトリエへ引っ越してきて7ヶ月。
ようやく片付けも一段落し、やれやれと思っていたのに、またしても大掃除をしなければならい事態と、あいなった。
煩わしことだと思いながら、ふと、美術学校時代の級友、K君の父上ことが思い浮かんだ。

秋の一日、JR青梅線御嶽駅にあるK君の住まいへ、遠足気分で遊びに行った。
そして、日本画家である彼の父上を紹介された。
広いアトリエで絵筆を握り、仕事をしていた。
軽く会釈を交わすと、椅子を用意いただき、コーヒーを勧められ、お父上が10代の頃、川合玉堂門下生として過ごした修行時代のお話しを伺った。

修行の第一歩は、掃除だった。
入門から3年間、来る日も来る日も、ともかく毎日、玉堂邸の庭掃除が日課だった。
初めは、こんなものかなと、思っていた。
しかし、3年目に入ると、いつになったら絵筆を握らせてくれるのかと、不安になったという。
それでも黙々と庭掃除をしているうちに、あることが分かってきた。
それは、庭に咲く季節の花々、木々や葉の様子、虫、鳥たちの生態、そして春夏秋冬の移ろいを知り、感じとる力を身につけるための鍛錬だったということを。
僅か数平米の庭という小宇宙を、つぶさに観て、知り、その世界を自分の画板に押し広げていくことが画家の仕事なのだと教えられた。
つまり、掃除そのものが、絵を描くための修行だったのだ。

あのころは、父親世代の苦言にしか思えなかったが、いまなら、まさしく正論と素直に頷ける。
さて、なかなか修行の境地には至らないが、週末、我がアトリエも掃除をしなければ・・・。

追伸
数日前、偶然、横浜アトリエのすぐ近くに、川合玉堂の別邸、「二松庵」があることが判った。
毎年、夏と冬、この庵で玉堂は画業に励んだという。
「二松庵」のお庭も素晴らしいとのこと、近々、この小宇宙を訪ねてみたい。

【今週のアンケートです】
教えて下さい。
あなたはここ1週間で何回お掃除をしましたか?

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【先週のアンケート結果です】
あなたはここ1ヶ月間で音楽CD(ダウンロード含む)を購入しましたか?

a.購入した————–31.0%

b.購入していない——–69.0%

ファンサイト通信の読者層は、映画や音楽等に感度の高い方々が多いので、もう少し購入率が高いのではと思っていました。
そうしたなかでのアンケートだと考えれば、改めて購入率の低さに驚きました。
僕自身、かつて毎月たくさんのCDを購入していたのに、なぜほとんど買わなくなったのか?
少し、じっくり考えてみたいと思います。

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