第559号『小さくても幸せ』

横浜市金沢区並木地区は、遠浅の海岸を埋め立てた住宅地として、35年ほど前に
できた街である。
2011年、中央区浜町から、ここ金沢にアトリエを移した。
以来、ボクたちは朝昼晩、アトリエで食事を作り食べている。
理由は、近所に美味しい飯屋がないから。
（それにしても、人形町・浜町エリアは美味い飯屋の激戦区だった）
だから、買い物もほぼ毎日する。

移転当初、暗澹たる気分だった。
スーパーマーケットには、確かに肉も野菜も魚も、なんでもある。
でも食べたいものが、なんにもない。
数日後スーパーの帰り、隣接する個人商店をふらりと覗いた。
目利きの魚屋、仕入れのしっかりした肉と、薫製まで自家製の肉屋、気の効いた
総菜を並べる八百屋。
それぞれに、個性を持ち自分たちの強みをきちんと示していた。
嬉しくなった。
これだけあれば、不自由ない。

ここ数年で、この街も老人の比率が高くなり、人口も下降気味。
こうしたことが起因してか、最近、2つあった大型スーパーマーケットの1つが
撤退した。
そして、恐れた。
1つになった大手スーパーマーケットに、客が集中し、八百屋、肉屋、魚屋など
個人商店の存続が危うくなるのではないかと。

杞憂であった。
いや、むしろ以前より客が増えている。

人の欲は変化する。
大きくて、なんでもあることが幸せだった時代もある。
一方、小さくとも欲しいものがあることのほうが幸せだと思う人も少なからず
存在する。

まさに、幸せを他人に決めてもらう時代から、自分で決めるものへと変わり始め
ている。
商店街を歩きながら、本業にこだわり、図太く幸せに生きるということを、あら
ためて噛み締めてみた。

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時間：4月11日（金）夕方より
（川村は4時ころから場所を確保するため、桜の木の下で飲んでます。）
場所：浜町公園（都営新宿線　浜町駅徒歩30秒）

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