ほぼ毎日、晩酌をやる。
量にして2、3合。
従って、一升瓶が4、5日で空になる。
基本は日本酒。
銘柄は決められない。
なぜなら、酒屋の店主が選んで持って来くるから。
ボクは、それを飲む。
この方法を採用して、かれこれ3年目に突入する。
不満はない。
頃合いがいい。
いや、むしろ喜んで飲んでいる。
この酒店は最寄り駅の裏路地にある。
なんの特長もなく、暗く古びた店。
スーパーやコンビニに押されて大変なんだろうなと思いながら、入ることも
なく通り過ぎていた。
ある日、店舗にシートがかけられ工事が始まった。
遂に、この店も取り壊しか。
そんなふうに思っていた。
数ヶ月して、シートが外された。
なんと、真新しい酒屋が姿を現した。
好奇心にかられ、店内に入ってみた。
驚いたことに、これまであまり目にしたことのない銘柄の酒が、所狭しと
並んでいるではないか。
興味津々。
銘柄を見ながら物色していた。
しばらくして、店主が声を掛けてきた。
主人は、まだ30代と若い。
先代が亡くなり、これから、この街の小さな酒屋として、どんな生き残り方
をすればいいのか考えた、と。
そして、その結果、自分も大好きな日本酒に特化した店作りをしようと決め、
一念発起、改装したのだ。
しかし、問題があった。
有名な蔵元は、実績のある酒店との契約を優先し、後発の店にはなかなか品物
が入ってこない。
だから、地方の小さな蔵元を時間が許すかぎり回り、自分で確かめ、交渉し、
仕入れているのだと。
彼の話しを聞いて、すっかり気に入った。
お金の使い方には2種類ある。
ひとつは、自分の欲しいものを手に入れるために。
もう一つは、人を応援するために。
ボクはこの若き店主と、彼の語る酒の物語を応援することにした。
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