第626号『リアル』

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【セッション】

横浜という街は音楽に溢れている。
いつの頃からか、ふらりとライブハウスに立ち寄るようになった。
それほど規模は大きくなく、ステージが設置されていないようなところもある。

幾つかのバンドを観ているうちに、こうしたライブ感のある雰囲気が好きになった。
ボクのお気に入りは、THE VODKA(ウォッカ)と金尾よしろう。

THE VODKAは、ボーカルの辻浩二とギターの渡辺健司を中心に30年以上、横浜をベース
に活動しているガチなR&Rバンドだ。
金尾よしろうは、1954年生まれ現在60歳のバリバリのロッカーである。
福岡天神のライブスポット「照和」で西田恭平、長渕剛等と音楽活動を始めた。
第1回「CBSソニーオーディション」で最優秀アーティスト受賞、東京・横浜を中心に
40年以上活動している。

THE VODKAのリーダー辻は北海道から、金尾は福岡から出てきた。
様々なことがあっただろうが、自分たちが作ったオリジナル楽曲にこだわり、我が道を
つらぬいている。
そして今夜も、マイクを握ってロックを歌い続けている。

そのことだけでも、ボクは彼らに共感し応援したいと思うのだが、さらにその魅力は何か
と考えてみた。

同じ楽曲であっても、ライブはその都度に違う。
例えば、温度や気候の変化であったり、店の雰囲気やメンバー編成が違ったり、なにより、
客も毎回同じではない。
さらに、演奏者との距離が当然近い、だから細かい仕草や息遣いまで感じられる。
毎回、その時のリアルな臨場感を共有することができるのだ。

書いているうちに、アメリカの伝説的なロックバンド「グレイトフル・デッド」のことを
思い出した。
高校3年の夏休み、友人Kに誘われレコード店へ行き購入したことを。

彼らは1965年結成以来、愚直にファンと向き合ってきたバンドである。
メディアに露出することも少なく、地道にツアーをし、ファンと個々にコミュニケーション
を交わしてきた。
ファンが録音したものをコピーしたり、二次利用することも許した。
チケットメーカーを入れず、一番いい席を熱心なファンが買えるようにした、などなど・・・。
兎も角、徹底的にファンのサイドに立って考えてくれるバンドである。

そして、そのグレイトフル・デッドの熱狂的なファンを「デッドヘッズ」と呼んでいる。
彼らこそが、ビートルズともローリング・ストーンズともまったく違った存在としてライブバ
ンド「グレイトフル・デッド」(現在は「ザ・デッド」として活動)を支え続けているのだ。

ユーチューブで簡単に音を閲覧できる時代、当然のごとく、相対的にCDの価値は下がる。
だからこそ、リアルなもの、ライブ感のあるもの、もっと言えば、コピーもダウンロードもでき
ないものにこそ、いま真の価値があるのだ。

さて、今宵もリアルを感じに、ライブハウスに立ち寄ることにするか。

【ご報告】
弊社ライターの安原 真広が9月末日もって退社します。
先月、彼から転職の相談をうけました。
新しい職場は、老舗ファッション誌の出版局と聞き、そのチャンスは活かすべきと同意
しました。
もともと出版を志していたものの、そのチャンスがなく弊社に参加したのですが、水が
合ったのか、入社以来、縦横無尽に活躍してくれました。
本人も、今回の決断に迷いがあったとのことですが、個々の成長がなにより大切なこと
と日頃から思っています。
そのことが、いずれファンサイトにとっても大きな財産になると。

ファンサイトを卒業しましすが、新天地でも皆様からの応援を切に願っています。

ファンサイト代表 川村隆一

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