【シーサイドタウン】
制作室(アトリエ)として使っている作業場は、横浜市金沢区にある。
二十数年前、住宅として購入したものだ。
駅から徒歩15分ほどの距離であるが、海に近く緑も多い。
近くにスーパーもコンビニもあり、目利きの肉屋と魚屋と八百屋もある。
さらに、自ら地方の酒蔵と交渉し、これはという酒を仕入れている酒屋もある。
日々の生活と仕事の場としては、すこぶる居心地がいい。
ここは1980年台、日本都市住宅公団(現在:都市再生機構)が横浜市南部エリアで開発した最大規模の住宅地域である。
一街区から三街区まであり、その人口18,220人。
小さな市に匹敵する数だろう。
アトリエのある住宅は13棟、362世帯が暮らしている。
築年数も30年を超え、今年大規模なリニューアル工事が行われる。
数年前から順次修繕が行われていたが、今年はその最大規模のものである。
工事費4億、小手先で済まされるものではない。
こんな大変な時期に、管理組合の理事に当たってしまった。
わっ、参ったな。
仕事の諸々や、トライアスロンのトレーニング時間の確保と、カツカツの状態で過ごしているのに、これ以上業務が積み増すことなど考えられない。
なんとか、逃れる手立てはないものかと思案してみた。
しかし、どう考えてもなんともならない。
不承不承ではあるが、受け入れた。
先日、前理事会との引き継ぎがあり、いよいよスタートした。
役職は、理事長・副理事長・会計・営繕・植栽・駐車場・総務とあり、自薦他薦と議論の末、それぞれの役割が決まった。
ボクの役職は副理事長、理事長の補佐役である。
1ヶ月が過ぎ、感じたこと。
兎も角、忙しい。
共同・共有部分のある住宅としての、取り決めやルールがあり、それに伴う許諾や申請がある。
壁紙の張替えやエアコンの工事申請、水漏れの調査依頼、駐車場申請などなど、細々としているが切実なものばかりである。
日々、連絡業務があり、押印しなければならない書類がこれほど多いとは。
暮らしを大過なく過ごすための下支えが、管理組合の仕事である。
これら一連の業務は、もちろん無償である。
当初、なんとか逃れたいと思っていた気持ちが、少しではあるが変化してきた。
誰かがやらなければ進まないことである。
持ち回りで、たまたま当たった。
これも、なにかのご縁だろう。
ならば、楽しんでやったほうがいい。
こんな気分に変わってきた。
そして、この街が前よりも好きになってきた。