【4時間00分57秒でゴールに辿り着いた】
57秒。
制限時間を57秒オーバーし、4時間00分57秒でゴールに辿り着いた。
フィニッシュテープは切れたものの、結果、DNF(Do Not Finish)。
これまでのレースで藤壺で足裏を切り、途中リタイアしたことはあるが、最後
まで走りきってのリタイアは初めてのことだった。
ゴール後、視界の真ん中が白熱球の芯のように真っ白になり、風景が全てイ
エローのサングラスでもかけているように見えた。
医療班から声をかけられ、テントで横になった。
胸、頭、肩と氷をのせてもらい、しばらく休んだ。
そして、医師から熱中症だと言われた。
幸い、1時間ほど休んで意識もしっかりと回復した。
なんとか、バイクやウェットスーツを積み込み、自分で運転し帰ることがで
きた。
今回出場したのは「白神杯第31回鰺ヶ沢トライアスロン大会」。
実家から車で1時間ほどの、青森県西津軽郡鰺ヶ沢町(元小結舞の海の出身地)
で開催された。
日本海に面した漁港があり、夏は海水浴場になる海辺を周回する1,5キロのス
イム。
バイクは白神山地の玄関口「ミニ白神」の高低差300mのテクニカルな山岳コ
ース40キロ、ラン10キロもアップダウンが異常にきついコースとして有名だ。
それにしても、なぜ、熱中症になったのだろうか?
前日からの行動を反芻してみた。
必要なトレーニングはそれなりに準備してきた。
調子も悪くなかった。
ウエットスーツ、バイクの組み立てとチェックも事前に準備できていた。
レース前夜は好物の郷土料理ホヤとミズを前に、ビールコップ1杯までと我
慢した。(ある意味地獄のよう、笑)
それなのに、なぜ・・・。
前日、レース説明会の前に自転車の車検がある。
横浜から宅配便で送った自転車は分解しなければ、箱に入らない。
だから、会場で組みてた直さなければならない。
この組み立てが厄介である。
工具もちゃんとしたものがなく、悪戦苦闘。
クーラーのない町の公民館での組み立てで思いの外、大量の汗をかいた。
レース当日、4時起床。
豪雨のなか、車で会場まで移動。
レース会場に到着すると同時に太陽が顔を出し、とたんに蒸し風呂状態にな
った。
ちなみに、この日の気温は33度、そして無風。
スイムスタート地点までの移動距離が長く、この間、水分補給する間もなく
スタートした。
焦っていたのか、なぜかトランジションエリアに用意しておいたボトルの水
を飲まず、バイクへと移動した。
バイクはアップダウンが予想以上に厳しく、大量に汗をかき、そして、もが
きながら漕いだ。
その汗も、下り坂での風を受け身体が乾ききっていたのだろう。
後で気がついたのだが、いつもは空になっているボトルの水が半分も減って
いなかった。
最後のランでは、走り始めてすぐにこれまでの走り出しとは違うと感じた。
足が上がらないのだ。
前に進もうとする意思が、湧いてこないのだ。
加えて、帽子をかぶらず走ったため後頭部に嫌というほど直射日光を受け続
けた。
2キロほど過ぎたころ、近くにいたマーシャル(トライアスロンでの審判の
ような存在)に声を掛けられた。
汗が全然出てないから、たくさん水を被るようにと。
そして、何度も水分補給とリタイアを即された。(何度、リタイアしようと
思ったことか)
ゆるい坂は歩き、急坂では立ち止まり、そしてなんとか足を動かし、下り坂で
は小走りに走った。
こうして、残り3キロ地点のエイドステーションに置いてあった塩を口に含
んだ。
これが効いた。
なんだか、走る気力が湧いてきた。
のろのろとではあるが、歩を前に進めゴールまでなんとかたどり着くことが
できた。
全ての原因は、水分補給の失敗であり塩分の不足に問題があったのだ。
頭では分かっていたことだ。
普段から、こまめに対応することを心がけていれば回避できたことである。
学びは難しく、忘却は易し。
とはいえ、身をもって学習したことであり、次回は同じ轍を踏むことなく準
備したい。
気持ちを切り替え、次へ・・・