【万博会場模型】
8日(日)台風15号の影響で、20時以降上りの新
幹線はすべて運休。
「やばい!」
手元にある切符を手に、傍らにいた妻に状況を話す。
すると「もう一泊予約してあるよ」とさらりと言った。
「さすが!」
翌朝、5時に目が覚めた。
月曜日の朝、半年前に予約していた人間ドックの検診
があるのが気にかかっていた。
なんとか、今夜帰れないか。
そうだ、新大阪駅に行き、20時前の乗車時間に変え
てもらおう。
妻はまだ寝ている。
起こさないように、そっと部屋を出て新大阪駅のチケ
ット売り場へと走った。
そして、1時間早めた指定席券に変えることができた。
ホテルに戻り、フロントで予約していた部屋をキャン
セル。
これでひと安心。
大阪の街は朝から晴天。
友人たちと会い、ランチの後「太陽の塔」に行く。
全て順調にリセットでき、気分は上々だ。
しかし、この判断が大きな間違いだったと気づくのは、
もう少し後のことになる。
11時にホテルをチェックアウトし、 Yちゃんと彼女の
旧友で、大阪に住むゆっき~Gこさん(大阪で活動して
いる芸人さん)と合流し、阪急梅田駅に向かう。
*ゆっき~さんのインスタグラムはこちら
ランチは、ゆっき~さんオススメのお好み焼き屋さん
「鶴橋風月」梅田店で、定番の焼きそばとお好み焼き
を頬張る。
昨日の「きじ」とは違う(そばのモッチリとした)味
わいを楽しめた。
【鶴橋風月のお好み焼き】
食事後、ゆっき~さんの車で、いよいよ「太陽の塔」
へ向かう。
途中、昨日食べ損ねた天満橋筋商店街「中村屋」のコ
ロッケに再度挑戦しようと行ってみた。
商店街を歩き(ゆっき~さんと歩いていると道行く人
たちから、よく声が掛かる、さすが大阪地場の芸人だ)
心優しく面白い、ゆっき~さんとのおしゃべりを楽し
みながら、店へと向かう。
【ゆっき~さん(左)の先輩ヨーデル食べ放題のリピート山中さん(中央)とみんなで】
しかし、残念ながら本日休業の看板がかかっていた。
次回は食べられますように。
さあ、気分を変えて「太陽の塔」へ。
淀川を渡り、30分も走ると緑が広がる千里丘陵だ。
ここに万博記念公園があり、その中心に「太陽の塔」
が鎮座している。
公園の入り口まで送ってくれたゆっき~さんとは、こ
こでお別れ。
入場券(250円)を支払い、ゲートをくぐる。
広い広い敷地は、芝生がひろがり木々が生い茂る。
その、ほぼ真ん中に(なんとも可愛らしい)とぼけた
顔をもつ巨大な塔が見える。
予約した2時に、塔の内部に入り、観覧が始まる。
12名でクルーを組み、ガイドから(開催された19
70年当時のままの)展示物の説明を聞きながら階段
を登る。
【太陽の塔内部】
小一時間のタイムトリップ旅行をしたような気分で塔
を後にし、次にEXPO’70パビリオンを見学した。
振り返ってみれば、万博開催のころが日本という国の
繁栄(イケイケ気分)の頂点だったのかなと感じた。
【パビリオン場内入り口で】
パビリオンを出て、あまりの暑さに小休憩をとり、先
に空港へ向かうYちゃんとはここで別れる。
おみやげを買い、時計を見れば4時30分。
さて、ここ万博記念公園駅から(横浜の港北ニュータ
ウンに似た風景の町並み)、を通過しながら新大阪駅
まで移動する。
17時過ぎに新大阪駅到着。
買い替えた切符の新幹線は19時10分、新大阪駅発。
後は、新幹線のなかで飲んで帰るだけだと、高を括っ
ていた。
改札口を通り、蓬莱の肉まんをお土産に買う。
そして、軽く食事を摂ろうと、うどんの「道頓堀今井」
できつねうどんを注文していると、周りがなんだかざ
わざわしている。
気になり、構内の電光掲示板を見に行く。
18時名古屋行上り最終。
後はすべて運休。
店に戻り、大汗(いや、冷や汗だ)をかきながらうど
んをすすった。
この後まずは、ホテルに再予約。
なんとか部屋を確保し、新幹線の払い戻しのため長蛇
の列に並ぶ。
大混乱の改札口を出て、地下鉄で肥後橋の宿に戻る。
電車のなかで「帰れないと困るから、リリィ(愛猫)
の餌も多めにセットしてきたよ」、妻の一言が刺さる。
いつものことながら、彼女の予感は当たる。
朝一で走り回った(正しくは、これを徒労と言う)痛
恨の判断ミス。
自責の念に、深くため息を吐く。
荷物を置き、気を取り直し近所の居酒屋で飲み直す。
美味しい焼き鳥を食べたからか、元気がでた。
店を出て、夜風に吹かれながらぶらりと、ホテルの周
辺を散歩した。
カフェ、居酒屋、うどん屋、地元のスーパー。
知らない街を、旅人気分で歩くのはおもしろい。
明日は帰るだけ、予定は何もない。
翌朝、地元のスーパーへ行くことにした。
9時の開店と同時に入店し、あれこれと物色する。
関東では見られない商品(例えば、ソースの種類やお
味噌の類、さらに瀬戸内海の魚介類加工品表示のもの)
が多い。
【ソース各種】
これは、生活に根ざしていることの現れなのだろう。
こんな些細な発見が楽しい。
スーパーを後にし、新大阪から新横浜へと、何事も(旅
の間、雨風にあたることもなく)なかったかのように、
この旅を終えることができたのだが、地元の駅からの帰
り道、何本もの木々が根こそぎ倒れていて驚く。
帰宅後、TVニュースを見て、まさかこれほどまでに甚大
な災害をもたらした台風だったとは・・・。
昨夜帰れなかったのは当然のことだったと、あらためて
知った。
小さな旅だったけれども、多くのことを考えさせられた、
ぶらり大阪の旅だった。
おしまい。