4月9日(日曜日)は弊社ファンサイトの創業記念日。そして、22期目に突入。金も、さしたる肩書もない、しかも50歳からの無謀な起業だと友人から(心底心配しての助言として)言われた。自分でもその通りだと思ったが、それでも挑戦してみたいと思った。その動機は、芸能人やスポーツ選手だけではなく、企業の商品やサービスにもファンという顧客がいることを発見したこと、そしてファンが集まるサイト(=装置)の運営とその生成過程を実験・観察してみたかったからだ。
ファンの存在を知ったのは、アシックスが製造販売するウォーキングシューズのマーケティングに関わった時のことである。東京自由が丘店をはじめ全国各地に当初6店舗ほどの直営店『歩人館(ほじんかん)』を展開していた。その中で、商圏が一番狭いにもかかわらず九州小倉店の売上がダントツによかった。不思議に思い店長会議開催の折り、それとなく聞いてみた。小倉店の店長いわく、超スーパーなクチコミをする人がいるのだと。その人は、ともかく人を連れてくる。その人は、すこぶる説明が上手い。しかも、その人を通してクチコミの輪が広がっている、と。興奮気味に教えてくれた。にわかに信じがたく、後日、小倉出張時に直接お会いする機会をいただいた。話題の主Sさんは、小柄で一見どこにでもいそうな50代の女性だった。Sさんから伺った時の回想である。
“通り掛かりに新装オープンした時、店に入ると店長から足の計測を薦められた。足を計る?!、その体験がまずは新鮮だった。もともと、自分は外反母趾で悩んでいたこともあり興味があった。そして、その計測データをもとに選んだ靴に足を入れてみると、これまでの感覚では経験したことのない履きごこちだった。こう話てくれた。そして、この後も自分の感動を熱度をもって言葉にでき、なによりもこのウォーキングシューズの特徴や特性(店長から伝授された)を微にいり細にいり話せる方だった。つまり、感覚的に自身が体験した感動と、なぜ履き心地がいいのかを客観的な知識やデータに基づいて話せる。そして、それを知人や友人に伝え共有できる人だった。
体験談とエビデンスのあるデータを共有していることがファンになるための基本要素である。ならば、超スーパーなファンとまでいかなくとも、一般のお客様の中からファンへと育っていただくことが出来るかもしれないと感じた。そこで、体験談とウォーキングシューズの各種データを記載した小冊子を作り全店舗で展開した。この冊子の効果は予想以上だった。そして「万歩百景」(万歩歩いて百の景色を観よう)という定期情報誌の発刊も始まった。こうした試みを通して、ファンが集まる場をウェブ上で展開してみたらどうなるかと妄想していた。たまたまご縁をいただき2001年にキリンシーグラム社(現在キリンホールディングスのグループ関連会社-キリンディスティラリー株式会社)のウイスキー、ボストンクラブのお話をいただいた。こうしてファンサイト「極楽クラブ」で、ファンが集まるサイト(=装置)が稼働した。幸いにもスタート当初から、多くのウイスキーファンが集ってくれた。
普遍性のあるコトやモノには、自ずと再現性がある。ファンが集まり、ファンとともに居心地のよい場を育てていくこと、これから企業は積極的にそうした場を提供していかなければならなくなる。ファンが集う場「ファンサイト」を作り運営する会社「ファンサイト」。それを実現するために「ファンサイト有限会社」を起業した。
22年間「ファンサイト有限会社」を運営して、こうありたいと願うことがある。それは、小さいけれど確かな硬い芯のある会社にしたい、と。なぜなら、「企業ファンサイト」という新たな考え方(価値)を理解いただくには、生半可なことでは到底成し得ないからだ。そもそもファンと向き合い、会話をしながら関係を結び広げていくこと自体、とてつもなく時間もかかり非効率な方法である。それでも布教活動のように言い続けているのは、これまでのマスマーケティングとは違うファンサイトの可能性を信じているからだ。ファンとの関係が楽しく活発になれば、お客様はその商品やサービスを通して育んだ関係を求めて、わざわざ買いにきてくれる。そして、価格競争をしなくてもよくなる。つまり、これまでの大量生産と大量消費による大量廃棄という欲望の消費の仕方とは違う価値基準で豊かさを手に入れることができるかもしれない。少し大げさに言えば、そういう近未来を実現したいのだ。
ファンサイト有限会社は小さいけれど、お客様にとって価値のあるものを提供してきたという自負がある。それもこれも、共に作り上げてくれる多くの仲間と、理解あるお客様に支えられての21年だった。改めて感謝したい。22期目も、小さいけれどピリッとした存在感のある会社であり続けたい。
【22周年記念キャンペーンのお知らせ】
22周年記念キャンペーンとして、ファンサイトおよびホームページのリニューアルを考えている企業様に無料相談を実施します。ファンサイトやホームページはあるが、どうもしっくりこない、伝えたいことが伝わっていない等、御社が伝えたいことを明確するためにも、その思いをヒアリングを通して明らかにしてみませんか。作り続けて22年、わたしたちが徹底サポートします。一度、気軽にお声掛けください。