第14回 世紀の選択

僕の選択
僕の選択

スーパーボウルは言わずと知れたアメリカスポーツ界最大のイベントで、
毎年2月上旬の日曜日に開催されます。
事実上アメリカの祝日とされ、スーパーサンデーとも呼ばれるこの特別な日曜日は、
日本では月曜日の朝にあたり、ライブでTV観戦するには、休暇をとらなければなりません。

学生時代に親友がアメリカンフットボール部に所属していたこともあり、
まったくの部外者ながら、このスポーツに大きな関心を抱いた僕は、
友人たちが出場する試合を観戦するようになりました。
実に面白い要素が数多く詰まっており、プレーが1プレー毎に止まるところも
観戦している者にとって非常にわかりやすく、魅了される大きな理由のひとつです。

レベルが高くなればなるほど、ディテールで勝負が決まることが多く、
その意味ではNFLの最高峰のゲームは、素晴らしい映画に匹敵するほどの興奮と、
著名な方のビジネス書に匹敵する知性で充たされています。

というわけで今年も休暇をとり、朝からBS放送で釘付けとなったのですが、
試合を決定づける一つのプレーが大きな議論となりました。

劣勢をはねのけモメンタムを引き寄せ、4点差を追うシーホークスが、残り26秒、
攻撃権を3回残し、残り1ヤードで2連覇というところまで、ボールを進めていました。
多くのNFL関係者が、ファンが、国民が、この日既に100ヤード以上を走っている
マーショーン・リンチにボールを持たせると思ったのでしょうが、
大方の予想・希望に反し選択されたパスは、インターセプトされ、万事休しました。
ピート・キャロルヘッドコーチの選択は、様々な批判にさらされました。

一つの「選択」に対して多くの議論が持ち上がるのも、このスポーツの魅力でもありますが、
私が印象に残ったのは、その「選択」よりもインターセプト直後のシーン。
パスを投じたQBのラッセル・ウィルソンとヘッドコーチが目配せをして、
うなづき合ったように見えたシーンです。

どういう思いであったのかは、本人でなければ分からないですし、
想像の範疇でしかありませんが、この選択、敗戦という結果に対する「納得」、
ともに歩んできた信頼関係による共通の意識みたいなものが、二人の間にあって、
その意味での目配せだったのではないかと、僕は思うのです。

何事も「何をするか」も大切ですが、「誰とやるか」が大切だと、常々思っています。
結果は絶対大切ですし、結果が全てでしょう。
ただ、「この人とやって失敗しても仕方ない。」と思えるパートナーとであれば、
ネガティブなものでも結果を受け入れ、次に繋げることができるはずです。
もちろん、そのようなパートナーは一朝一夕で見つかりません。
まさに運と縁が必要で、各々を高める努力も当然必要となってきます。

「THE DECISION」として語り継がれる名勝負だった第49回大会。
ピート・キャロルの「選択」は最後の1プレーではなく、
2012年にラッセッル・ウィルソンをスターターに起用したことだったように思えます。
たゆみない努力に基づいて積み重ねられたパートナー間の信頼関係が、
最後のプレーコールとともに、記憶に残るのでした。

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