日銀追加緩和は市場では大きなサプライズとなり、
黒田総裁は「GPIFの投資政策と金融政策は直接関係ない」と述べていましたが、
明らかに、事前に計画されていたものだったようで、
日銀とGPIFの合わせ技により増税より先に手を打ち、まさに総力戦の様相です。
追加緩和発表後に円安が進行し、株価も上昇したことで、
輸入物価上昇による物価押し上げや、
マインド効果による消費への刺激も期待できるというものですが、
はたしてそうなのでしょうか?
黒田総裁の会見では物価へのこだわりが印象的でしたが、
物価が上昇しても経済が一向に回復しなければ賃金は上がらず、
国内消費者にとっては重い負担となります。
その「間」を埋めるはずの実体経済の回復は未だ何も見えてきてはいません。
日本国内で小売店舗をいくつか手がけ、苦楽もともにしている僕には、
実感として、そのことがとてもよくわかるのです。
高齢化する日本社会において、大幅なインフレは訪れ得ません。
既に何でも揃い、何不自由なく過ごせ、新たな内需もなかなか創造し得ません。
賃金の持続的上昇は見込めないことがはっきりしている状況で、
日本の厳しい将来を予感した僕は、2010年から海外に挑戦の場を求めるようになりました。
当初は東南アジア諸国で…失敗に次ぐ失敗を重ね、個人的な国際競争力のなさを実感し、
それでも、機会があるたびに、海外に目を向けてきました。
いま、縁あって東欧の地で、ある企業のお手伝いをしております。
少しずつですがいろいろな経験が形になりつつあり、ほんの少し自信も芽生えています。
10時間以内ならエコノミーでの移動も、2泊程度ならパブでの仮眠も苦になりません。
何より、学歴、職歴でも家柄でもなく、個の力を評価してくれる環境を心地よく思います。
市場において「バズーカ」の異名にふさわしいインパクトをみせている追加緩和ですが、
その分、歪みや反動が大きくなるおそれもあります。
そのような武器を使わずに、個の力の結集で局面を打開できるようになりたいものです。
われわれの両親の世代がそうだったように。