第33回 雨に唄えば

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降ったり止んだりの日が続きます。
さすが、梅雨。この時期は高い湿度からか陰鬱な気分にもなりますね。
それにしても日本語には「雨」にまつわるコトバが多くあるなと思います。

梅雨、霖雨、霧雨、豪雨、俄雨、五月雨、時雨、秋雨、氷雨、宿雨。
雨を表現するコトバだけでもたくさん。
雨空、雨音、雨具、雨戸、雨模様。
晴耕雨読、五風十雨、櫛風沐雨。

農耕民族の僕たちにとって、昔から雨は「恵み」のものであったことは間違いなく、
人々の大きな関心事であったということが、数多くあるコトバからうかがい知れます。

そのような雨降りの週末、
二週連続で、公共交通機関で、嫌な思いをさせられました。
まさに雨後の筍、今週は京浜急行バスです。

久しぶりに自家用車を運転していたところ、
逗子銀座通りと池田通りの三叉路で事故は起きました。
三叉路に進入し、列の最後尾につけて信号待ちのため停車していると、
乗客を乗せた運行中の京浜急行バスに「当て逃げ」をされたのです。
当該バスの乗客が全員振り返るくらいの音がする、右折巻き込みでした。
一度減速したバスは停車することなく、僕の期待とは逆に加速していきました。
(ん?あてにげ?本当?)

便利なもので、スマートフォンに車両ナンバーをメモし、
「京急バス」をGoogleで検索して、指一本でダイヤルできます。
「すみません。たった今、御社のバスに当て逃げされました。」
20分くらい待つと、最寄りの営業所から事務職員の方がやってきて、
簡単なお詫びと、手続の流れを説明があり、キズの確認です。
キズは大したことなく、京急バスのカラーが一筋。
明らかに擦った痕ですが、
大企業のマニュアルにしたがう手続はあまりに時間を要するもので、
キズの小ささと比較するとその時間の長さは付き合いきれない程度のものでした。

僕は、修繕の費用を請求することをあきらめましたが、
どうしても許せないのが、逃げたという行為そのものでした。
乗客全員が気づくほどの巻き込みで、運転手が気づかないはずがなく、
だからこそ彼は一度減速したであろうし、
もし仮に気づいていないとすれば、それ自体が問題で、
運転手としての適性を欠くとしか言いようがありません。
今回のケースであるならば、少なくともバスを一度停車させ、
様子を見に降りてくるという行為が正解なのではないでしょうか。

翌日、京急バスから再度連絡があり、
「運転手が特定されました。本人は気付かなかったと。始末書を書かせて・・・。」
おそらく部署を統括する方なのかもしれません。
このレベルの低いお詫びらしき電話の方に、僕は思わず本音を伝えました。
「その運転手の方をつめてどうするのですか?
 その方、絶対気づいていたでしょうし、そうでなければ、なお問題です。
 一人の従業員を追い詰めて嘘つかせている組織の方が問題だと思いませんか?
 嘘をつかない環境をつくらなければ、仕方ないと僕は思いますよ。
 運転手の方を処分するのは、やめていただきたい。
 もし貴方が同意してくださるなら、申し上げたことを社長に伝えてください。」
そして、今回の出来事をここに掲載することも申し伝えました。

無論、時と場合によりますが、
現場で日々働いている方を細かなルールで縛ったり、
罰則や減給のみでコントロールしたりするのは、何一つ良いことはなく、
常識的な判断力や、ときとして良心までを奪ってしまうと思うのです。

もっとおおらかに笑顔で、許すことで、
組織や社会がよくなってくれるのではないでしょうか。
いちいち始末書など書かせて怒るから、嘘をつくようになるのではないでしょうか。
あるいは始末書書きさえすればすべて済むと思うのではないでしょうか。
おおらかさ。特に今の時代、必要なのではないでしょうか。
毎日使う交通網ですから、良くなってほしいものだと願いますし、
今回の件に限らず、世の中のすべてがそうであってほしいと思うのです。

“The sun’s in my heart.”
ジーンケリーの唄う歌詞の通り、心にお日さまを照らすべきなのです。
梅雨が明ければ、夏休がやってきます。

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