フランスの大統領にエマニュエル・マクロンが当選したことで、なんとなく世界が安堵感で覆われ、市場も回復傾向にあり、好意的なトーンの報道をよく目にします。落ち着くところに落ち着くとでもいうことなのでしょうか。気が付けば1位アントラーズ、2位レッズ、3位ガンバという順位表のように、心地のよい景色が目の前にあるという現状に思えます。実際、当のフランスは、どのような状況なのでしょうか。実は何もわからずに、雰囲気や感覚的なものだけで、僕らをとりまく世界は回っていたりするものです。
常々、感じていることですが、すべては自分の目で見て自分の肌で感じなければ理解などできないわけで、とりわけこのような情報が溢れる社会では、特にそのことを強く感じます。中国の景気が傾き始めているなどの報道を目にすることがあっても、上海で活躍する経営者の話を聞けばまだまだ活況で、上昇の角度が緩やかになったにすぎないことを理解できますし、なおそれを自分の目で確かめれば、より一層確からしさは増すはずです。やはり経験に勝るものはありません。
最近になって、戦後の時代を築いてきた方々から聞く話が妙に大切に感じるのも自らが多少なりとも経験を積んできてみて、「実話」の大切さをわかり始めたからだと思います。我々の両親の世代からの伝承は彼らの武勇伝を含めて、示唆に富んでおり、何より物語としてもオモシロイのです。
このような経験を伝えてくれるベテランは、どんな組織にも属します。IT最先端の若い企業には存在しないこともありますが、優れた経営者は彼らの経験がサイバー攻撃にあわないことをよく知っているので、お金を払って雇用したりしています。単純に経験則から利益をもたらすだけでなく、そのときどきの環境や構成メンバーの感情などによって自らの立ち回りを変えたりして、ベクトルを維持することに貢献するからです。
とは言っても、ベテランの金言も聞く耳をもった若手がいてこそ役に立つし、それを黙々と実行する中堅がいてこそ結果に繋がるものです。要は役割が大切なのでしょう。与えられたり、割り振られたりもしますが、それぞれの個が期待される個性こそが「役割」だと僕は思います。ストライカーにはストライカーのディフェンスにはディフェンスのサポーターにはサポーターの役割があるはずです。それを果たせたときに結果は伴うでしょうし、積み重ねれば歴史になり、順位表の上位に名を連ねても、違和感ではなく心地よさを人に与えるのだと思います。
幼い頃に、一年中温暖で穏やかと教わった瀬戸内海を初めてこの目で見て、静かな水面とそこに浮かぶ島々から、字面では感じられないオーラを感じて、そのようなことを考えていたゴールデンウィークでした。