第51回『地域イノベーター紹介-その18』

折込広告文化研究所の鍋島です。

前回に引き続き、我が関心事、地域をデザインしているイノベーターを紹介します。

へぇ~、こんな面白い人が、こんな素晴らしい人が、いるんだ~と軽く受け止めていただければ幸いです。

「地域イノベーター」シリーズその18

今回の地域イノベーターは、2018年4月から静岡県南伊豆町で、「一対一」の暮らし体験サービス「南伊豆くらし図鑑」や南伊豆の地域密着型WEBマガジン「南伊豆新聞」を企画、運営して、南伊豆の魅力を発信し続けている伊集院一徹(いじゅういん いってつ)さんです。

< 伊集院一徹さん >

伊集院一徹さん(以下からイッテツくん)は、鹿児島出身なのに、何故、南伊豆町でメディアを発信し続けているのでしょうか、を紐解きます。

そもそも、イッテツくんと私(鍋島)は、どこで会ったのかを紹介します。

江東区の清澄白河にリトルトーキョーという面白いタマリ場があります。

1階はバーと書籍(トークの講師の著書)販売、2階が「仕事百貨」トークイベント会場、そして3階は他のトークイベント会場になっています。

イッテツくんとは、その3階で初めて会いました。

イッテツくん主催の「ローカル×ローカル」というトークイベントで。

< リトルトーキョーでのイッテツくんのイベント告知写真 >

私(鍋島)はイッテツくんがトークに呼んだゲストの話しを聴きに行きました。

ゲストも魅力ある方で、島根県大田市大森町にある700人の町の、群言堂(石見銀山生活文化研究所)で広報紙(その広報紙の名前は「三浦編集長」でしたが、最近、少しスタッフを加えて「三浦編集室」になりました)をつくっている三浦類さんです。

以前に、群言堂の広報紙「三浦編集長」を知り、フェイスブックの友達に既になっていましたが、未だお会いしてなかったので、会いにトークイベントに参加しました。

三浦類さんもメディアを通しての地域イノベーターです。

< ローカル×ローカルイベント写真 >

そしてイッテツくんのことも知りました。

なんか興味深い若者がいるなぁ~と。

< イッテツくんと三浦さん >

そのイッテツくん、今、南伊豆町で、何をやっているのでしょうか?

イッテツくんは、現在、南伊豆町で、地域おこし協力隊の一員になっています。

※地域おこし協力隊とは、政府が人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材(個々の能力を活かせる人)を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図ることで、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度です。地域おこし協力隊のメンバーは一定の生活費を3年間、各自治体(政府)から保証されます。

< 地域おこし協力隊についての概要 >

https://www.soumu.go.jp/main_content/000610488.pdf

その地域おこし協力隊になったイッテツくんは、どんな自分の能力を活かしているのでしょう。

イッテツくんが得意としているのは、人に会って話しをすること=インタビュー、聴いた話しをまとめること=編集、そして面白くわかりやすく絵を描く=イラストを描きメディアにすることです。

イッテツくん、南伊豆町で暮らす人のインタビューを通して、1対1で日常の暮らしを体験できる「南伊豆くらし図鑑」を継続的に作成し、更に、ローカルメディア「南伊豆新聞」を得意のイラストまじりにWebと紙で発信しています。

< Web版の南伊豆新聞 >

< 南伊豆新聞 >

※Webからも読むことが出来ます。

http://minamiizu.news/

本当に南伊豆町という地域に入り込み、さまざまな角度からその魅力に光を当てています。

「南伊豆くらし図鑑」は、ショートホームステイみたいな暮らし体験プログラム。

例えば、伊勢エビ漁体験では、朝の4時に集合し、平山さんという漁師さんと一緒に出港して、伊勢エビの網を引き上げ、網から伊勢エビを外す作業も、漁師さんや地元の人たちと一緒にやります。その後のバーベキューが魅力的です。

もう一つ、限界集落の吉田村の吉田さんを訪ねるプログラムは、40年前に、この土地に惚れ込んで移住して、民宿を経営されている吉田さんの半生を聞くそうです。

※イッテツくんが「南伊豆くらし図鑑」というショートホームステイみたいな暮らし体験プログラムを考えるに参考にしたものがあります。

それは「ヒューマンライブラリー」。

蔵書は本ではなく、あらゆる個性をもった人。

「ヒューマンライブラリー(人間図書館)」は今から20年前の2000年春、コペンハーゲンで開催されるヨーロッパ最古の野外ロックフェス「ロスキルド・フェス」のイベントの一環として、開館したのが始まりです。

この内容からイメージを膨らませたイッテツくん、「ショートホームステイみたいな暮らし体験プログラム」が浮かびました。

< ヒューマンライブラリーについては以下のサイトをご覧ください >

https://tabi-labo.com/246396/humanlibrary

< 南伊豆くらし図鑑 >

イッテツくんが南伊豆町に暮らす人々に照準を当て紹介しているのには意味があります。

それは、「南伊豆にまた来たい」と思ってもらえるようなキッカケづくりだそうです。

その南伊豆町は、特急「踊り子」号に乗って東京から2時間50分くらいで着きます。

海も山も豊かで、以前は温泉街として栄えていた町が、人口はイッテツくんが南伊豆町に移ってきた年は8,400人で、今は8,200人くらい、高齢化率も44%と高いところです。

そんなところでメディアを立ち上げたイッテツくん、その下地となる能力は、どうやって築いたのでしょうか?

イッテツくんが渋谷で働いていた時に、渋谷に自由大学と言う市民大学があることを知ります。

そこで、面白いので「脱藩学」と「魅力を引き出す質問学」を受講したそうです。

「脱藩学」は「自分のなりたい大人を考える時間が持てる」講義で、そのため自分のルーツを辿り、深い自己紹介をします。

そこで昔、自分がピースボードに乗っていた時に似顔絵を描いていた体験を振り返り、そうだった、絵を描くことが楽しかったことを思い出したそうです。

また「魅力を引き出す質問学」では、グラフィックレコード(イラストで描く会議の記録)を描き、内容を同じ受講生と共有できたそうです。

イラストを描けることを活かそうと思ったそうです。

なんかイッテツくん地元学のような何にも無いところは無い、という感じで、南伊豆町で活動しているなぁ。

もう一つ、イッテツくんの面白い実践、「誰だってミラクルストーリーな今」というインタビュー企画をしています。

それは・・・

「インタビューする相手に自分の両親と話してもらうのです。それは、ふだん聞くことのない、おじいちゃんやおばあちゃんの話をテーマにして両親と話してもらいます。」

「すると、おじいちゃんおばあちゃんの生き方とインタビューする相手自身の生き方が重なる瞬間があって、その事実と感覚をイッテツに話してもらい、それをテキストとイラストで表現するプロジェクトです。」

イッテツくんは感じて思っています。

「どんな人にだって、奇跡のような繋がりがあることを。」

イッテツくんの普通の人をキラリと輝かせる表現力と発信力、また人と人を繋ぎ、呼び寄せる吸引力、これからもたのしみです。

またイッテツくんに会いに、清澄白河のリトルトーキョーに行かなくちゃ。

今度はイッテツくんに会いに。

次回また、素晴らしい地域イノベーターをご紹介したいと思います。

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「鍋島」のプロフィール

鍋島裕俊(折込広告文化研究所 代表)

*1950年、佐賀県佐賀市に生まれる。

*1980年に朝日新聞社系の折込広告会社に営業で入り、その後、出版、マーケティング、社長室、メディア戦略を経て、無事に卒業(2015年)。

*折込広告全国大会の研修会・分科会や本会議での研修講師や基調講演の講師をプロデュースしている。これは業界への恩返しと考えてのサポート。

*研究テーマは、①折込広告の全般研究、②折込広告史の研究、③地域メディアの研究。

*お節介していることは、全国各地のまちづくり・地域づくりの当事者やそれを紹介するメディアの編集者たちを、勝手に紹介・繋いだりすること。

*2014年に「折込広告文化研究所」を設立。

*折込広告に関する執筆は、「商業界」「食品商業」「宣伝会議」「販促会議」「物価資料」など、過去に多々掲載された。

*印刷会社の“街おこし” 一般社団法人マーチング委員会の渉外部長。

*全日本印刷工業組合連合会(全印工連)CSR認定委員会の委員(前認定委員長)。

*その他、数店のお気に入り店舗(飲食店&本屋さん)の口コミ宣伝部長の名刺がある。

*オリケン・セミナーを定期的に主宰(達人シリーズ、著者シリーズ、今が旬シリーズ)。

*facebookでの発信は、多岐に渡る。

 

 

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