第17回 『韓国ソウルの話、第2弾!』

 ソンミサン・マウルを知っていますか?

 知らないでしょう。実は、私が知ったのも2ヵ月前の9月5日。エンパブリック・日本希望製作所編「まちの起業がどんどん生まれるコミュニティ」という本を読んで知った。「ソンミサン・マウルの実践から学ぶ」とタイトルが付いているこの本、私が進めている新聞販売店を業態変革し、地域に役立つハブ機能を付加させたらどうかという研究に大いに参考になっている。

 ソンミサン・マウルとは?「まちの起業がどんどん生まれるコミュニティ」本からの引用。

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 ソンミサン・マウル(マウルは町や村の意)は、ソウル市の中心部(麻浦マッポ区)の標高60mの小山をとりまく地域にあります。ソンミサンはその小山の名前で、行政区の名前でも、有名な地域の名前でもありません。ソンミサン・マウルのある麻浦区は、ソウル特別区にある25の区のうちの一つであり、すぐ南側を漢江が流れています。
 1994年、この地域に集団移住した30代の共稼ぎ夫婦25世帯が、自分たちの必要性から共同育児施設「ウリ・オリニチップ(私たちの子どもの家)」を設立しました。ソンミサンを取り巻く地域では、その取り組みを発端として人の繋がりが徐々にでき始め、やがて単なる地域から、ソンミサン・マウルへと発展していきました。共同育児の活動は、子どもの成長や発達につれて、学童保育や代案学校など新たな「必要」を生み、さらに食の安全のための生協(麻浦トゥレ生協)の設立(2000年)につながりました。
 そして、2001年には、ソンミサンに配水施設を建設しようとするソウル市の計画に対して住民運動が昂揚し、その撤回を勝ち取ります。その運動の中で、世代間のコミュニケーションが広がったことで、コミュニティは拡充しました。 
 現在、麻浦トゥレ生協には約5700世帯が加盟し、カフェ、リサイクル・ショップ、市民劇場、ミニFM放送局など、新しい文化や開かれたコミュニケーションを支える多彩な70を超える活動や事業体(マウル企業)が活発に展開されています。
 そして現在では、まちづくりで有名なコミュニティとして、韓国でも「子育てをしたいまち、住みたいまち」として知られる地域となっています。
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 ソウル滞在最終日の11月1日10時30分、ホテルでチェックアウトの手続きをし、荷物を預けて地下鉄の市庁駅(City Hall 2号線201駅)から合井駅(Hapjeong 238)に向い、そこで6号線に乗り換えて1駅目の望遠駅(Mangwon 621)で降りる。この駅の改札口で通訳をしてくれるキムミナさんと待ち合わせ。

 11時30分、キムミナさんと合流し、いよいよ「ソンミサン・マウル」に向かう。駅周辺のコンビニ、まちを歩いている人に「ソンミサン・マウル」と聞けば、簡単に行けると思っていたが、意外や意外、知っている人がいない。「あっちの方向かも?」「こっちの方角だったと思う」などと不確かな応えが多く、途方にくれた。昼時が幸いしたのか、流行っている食堂で聞いたらソンミサンの近くに住んでいる人がいて、親切に教えてくれた。望遠駅から徒歩10分くらいでソンミサン地区に着く。

▽キムミナさん
キムミナさん

 普通の街並みと何かが違う。そうだ、車道と歩道の間に自転車道がある。これも住民の意見で出来たと本に書いてあった。途中で気付いたが「まちの起業がどんどん生まれるコミュニティ」本の表紙、ソンミサン・マウルの地図だった。その地図を頼りに横道に入り、小高い山(丘)を探し、坂を登っていくと学校。子どもたちが元気に校庭で遊んでいた。次に、共同住宅や保育園、劇場を確認し、劇場に併設したコーヒーショップに入る。焙煎の良い香りのする本格コーヒーを飲みながら女性の店員に尋ねる。「劇場の中に入れますか?」「今日はイベントが無いので、見ることはできませんが、表通りのコンビニ2階に事務所があるので、そこで聞いてみてください。」韓国のコーヒーは薄かったり、初めから砂糖が入って甘かったり、散々な目にあっているが、ここのコーヒーは美味しく満足満足。キムミナさんのラテにはハートが。

▽自転車道
自転車道

▽学校
学校

▽劇場&図書館など
劇場&図書館など

 劇場の事務所に行くとスタッフが会議中。思い切って「日本から来ましたが、ユ・チャンボクさんはいらっしゃいますか?」と尋ねると、ユさんが会議の場から離れてきた。本を見せて挨拶をすると、「しばらく、表通りのカフェでお待ちください。劇場を案内させます。」という返事。早速、カフェに行く。カフェは土産もの売場も兼ねていて満席。ソンミサン・マウルを見学しに来る人のための住民ガイドが、丁度、休憩していた。中に入り、ソンミサン・マウルの地図がプリントしているハンカチを購入。店の人と話をしているとガイドの人が関心を持ったようでノコノコ近づいてきた。「日本からこの本を見て、来た」と言ったら、嬉しそうに一緒に写真を撮らせてと頼まれてパシャリ。固く握手をして離れた頃に、ユさんが劇場担当者を連れてきた。ユさんは、この後も予定があるということで握手して、私たちは劇場に向う。

▽カフェとガイド
カフェとガイド

▽ユ・チャンポク氏
ユ・チャンポク氏

 劇場はソンミサン・マウルの住民が集い楽しむ「場」で、時々は、収益を確保するために外部からのレンタルもあるそうだ。劇場担当者に御礼を言い、表通りに戻り、生協と空腹なので食堂に向う。生協で有機のハーブティーとハチミツを購入。食堂は清潔感漂う雰囲気の空間で、さて何を頼もうかと思案。「New!」の表示が気になり、何とそれは「親子丼」。今、ソウルでは簡単な日本料理が流行っているそうだ。注文し食べてみた。美味だった。

▽食堂の外から
食堂の外から

▽食堂
食堂

▽親子丼
親子丼

 ソンミサンの周辺にあるコミュニティ、別に特別のことのように構えていることも無く、普段の生活の中で、ちょっとだけ他人を気遣い、周りを気遣い、しかし、自分も我慢をしないで満足するという良好な人間の関係が、何となく見え隠れする地域という印象だった。次回は、もっと、ゆっくり味わってみたい。

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