第2回 『夢を「集め」「魅せ」「育む」人間ライブラリーのスルガ銀行「d-labo」』

五箇公一さん制作のクワガタナカセのCGとクワガタムシ

五箇公一さん制作のクワガタナカセのCGとクワガタムシの写真
クワガタナカセとクワガタムシの関係の歴史は一千万年を超える長いものだった。

 六本木にある東京ミッドタウンは、働くこと、住まうこと、遊ぶこと、憩うこと、が一体となった新しい価値を創造する一歩先ゆく都市のカタチと言われている。その施設の中に、銀行でありながら夢を「集め」「魅せ」「育む」をテーマに様々なセミナーを無償で開催しているスルガ銀行「d-labo」がある。残念なことに私が「d-labo」を知ったのは今年に入ってからのことで、もっと早く知っていれば・・・って本音。これまで4回、参加したが、その中でも強烈な印象を与えてくれた五箇公一さんのセミナーでの話しの一部を紹介したい。

 5月10日は「ダニが語る生物多様性」。講師は何よりもダニを愛し世の中に1人でも多くダニ・ファンを生み出したいという五箇公一さん。五箇さんは現在、国立環境研究所で生物多様性の保全に関する仕事をしており、ダニの素晴らしさについて科学的に語れる人は他にいないらしい。

さっそく、五箇さんの話し・・・、
・ 日本人は昔から、クワガタムシやカブトムシという甲虫が大好きです。
→うんうん、私も好き。
・ このクワガタ好きは日本人独特のもので、他の国ではクワガタムシをペットとして飼育するという習慣は全くと言っていいほどありません。
→日本だけなんて知らなかった。
・ クワガタムシの研究では、日本列島の色々な地域から200個体以上のヒラタクワガタを、アジア地域の外国から140個体以上のヒラタクワガタを集めて、個体ごとにDNAの塩基配列を調べ「系統図」を作りました。
→違いを知るのに大規模な調査が必要なんだ。
・ 系統図から明らかになったことは、日本列島のヒラタクワガタの祖先は中国大陸で誕生し氷河期に海の水位が下がって浅くなり日本列島と大陸がつながっているときに日本に渡ってきた。氷河期が終わって再び海の水位が上がり日本列島と大陸が離れて島に取り残されたヒラタクワガタ集団は独自の進化を遂げた。その歴史は今から約210万年前に始まり約10万年前までの200万年もの時間をかけた長いもの。
→今、目の前にいるヒラタクワガタにも長くて複雑な進化の歴史があったんだ。おどろき!
・ ところで、このクワガタムシの背中にもダニがいます。昆虫類に寄生するダニです。
→目が点・・・。
・ そのクワガタムシの背中についているダニの名前はクワガタナカセと呼ばれています。
→えっ、笑える。
・ このクワガタナカセはクワガタムシの背中以外では生きていけない。クワガタムシの体表に溜まるゴミやカビを食べる掃除屋です。
→すごい。
・ このダニは日本列島だけではなく中国や東南アジアにも広く分布しており、ダニ学者として気になるのは日本列島と外国のクワガタムシに寄生しているダニの「個性」と「多様性」です。
→どう違うのか?
・ 外国のクワガタムシに寄生しているダニを試しに日本のクワガタムシに乗せたら背中で増えたが、日本のダニを外国のクワガタムシに乗せたら増えなかった。このダニは国や地域で個性が異なることがわかりました。
→えっ、どういうこと。
・ つまり、見た目、小さくて何の変哲もないこのダニは、実はクワガタムシごとに独自の進化を遂げた極めて遺伝的多様性の高い生き物でありました。
→ダニ、おそるべし。

こんな調子で五箇さんのトークに一気に引きずり込まれ、あっという間の2時間でした。クワガタムシとクワガタナカセの共生関係のみならず、ハチ、カエル、ミジンコやメダカなど今まで知り得ない話しが続き、実は環境に適応していないのは人間で、生物多様性という自然のサイクルを壊しているのも人間であると気付かされた。

 セミナーの終了後に、ダニ・ファンと言うより五箇さんファンになったしまった私は、五箇さんの著書「クワガタムシが語る生物多様性」を購入し、サインまでしてもらった。また、五箇さんからいただいた名刺には愛くるしいクワガタナカセのCGがプリントされていた。

 五箇さん以外で、私が参加した「d-labo」セミナーは1月20日の友成真一さん「問題はタコつぼではなくタコだった!?」、5月17日の曽我部昌史さん「街のリソースのリサイクル」、6月9日の成瀬友梨さんと猪熊純さん「何をデザインするかをデザインする」で、全てが楽しく得をした感じの話しばかりだった。

 今までと、これからの「d-labo」セミナーは以下のサイトに載っています。夢を語り、夢を実行している人が「d-labo」の講師で、まさに人間ライブラリーです。
http://www.d-laboweb.jp/

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