今年の夏は猛暑続きが多かったせいもあって、涼しい秋を満喫しているうちに
突然冬がやって来たように感じます。
11月にどっと雪が積もり心と身体の準備が整っていないまま12月へ投入~。
蕎麦好きが高じて始めた蕎麦打ちの手習い。
先日師匠(先生)のママさんのにしん漬をご馳走になりました。
入っている野菜の種類は違うものの味わいが実家で食べる母の味に似ていて私
好みの味。
ママさんの生まれは青森県でした。
東北地方の味と私の実家(津軽海峡を隔てた町 松前)の味付け。
やっぱ似てる。
あ~どうりで懐かしい味だったんだと妙に納得。
ママさんが、美味しいにしん漬けを作るコツは、良いみがきにしんじゃない
と駄目なのさ。
そう言えば、前に母ににしん漬けの作り方を聞いた時も同じ事言ってました。
にしんが良くないとダメだって(笑)ここでも素材選びって大切だと実感。
にしん漬けを食べたお陰で思い出した帰省切符の準備。
実家の母に電話をしました。
私は道南松前町という小さな浜の街で育ちました。田舎があるのはとっても
喜ばしい事ですが、札幌の自宅を出てから実家に到着するまで列車と車を乗
り継ぎ7時間ちょい。
毎年の事ながら、仕事を終え大掃除もささっと済ませて帰るのでハードな年末。
たまにはゆっくりと自宅(札幌)でのんびり年越しをしてみたいな~と思う自
分の気持ちが罪悪感(親不孝の娘。そんな事思ったらバチ当たるって)帰れる
家があるって幸せ☆
『母さん今年も正月帰るよ!いずし何か作ったの?ホッケ作った?』
『いずし』は漢字で書くと飯寿司。
本州地区には馴染みのない保存食ですがなれ寿司のカテゴリーのひとつだと思
って頂ければ想像が付くかも知れません。
飯寿司を作る土地は、主に東北、北海道地方。浜の町の母さん達が作る郷土料
理で浜の魚に野菜(大根やニンジン、生姜等)米麹で仕込む醗酵伝統食です。
正月のご馳走に欠かせない飯寿司は昔はどこの家庭でも大樽で仕込んでいたも
のです。
料理を教える立場の私ですが田舎の保存食だけは未だにチャレンジした事がな
く、やってみたいと思ってもタイミングが合わない(と言い訳をしつつ、、今
年も師走突入)そして何より母の作る飯寿司が好きなので、自分で作りたくない。
と言うのが一番の理由かな。(甘えん坊ですね)
タイミングの話をちょこっと。
飯寿司に関しては、秋から冬の気温が低くなった頃から仕込みが相応しく12
月の大晦日頃に食べ頃にタイミングを合わせると完成まで約1ヶ月を要するの
で11月下旬頃に作るとベストだそうです。
母が作る飯寿司アイテムは、主にイカ、ホッケ、紅鮭でした。
私の好物は昔は、1番イカの飯寿司、ここ10年はホッケの飯寿司が1番好き。
畑で収穫された大根やニンジン、山で採ってきた山椒の実も入ってます。
乳酸醗酵しているので、ちょっと酸味はあるものの山椒と生姜の爽やかさがプ
ラスされた後引く味わい。
母はご飯のお供。
私はダントツで日本酒の肴狙いです。
え??ホッケは?イガ(烏賊)は?獲れなかったの?
まずイカ(北海道の中でもイカの産地は道南函館方面が有名です)の水揚げ量
はここ近年(5年位)不漁が続き、観光地函館も大打撃。
今年の夏はイカの刺身を口にしておらず(実家の母から送られてくる宝箱にイカ
の姿無し)地元の水産加工場(スルメ加工)も今年余儀なく廃業したそうです。
温暖化の影響が否めない事実は、深刻な死活問題となっています。
私の近所のスーパーでもホッケは店頭に並んでいるのに、ホッケの産地の実家が
ある場所でホッケの飯寿司は作れないのか?という話に戻りますが母なりの法則
があるんです。
素材(鮮度)が良い事が前提ではありますが水揚げされる時期のホッケの状態が、
飯寿司の美味しさの秘訣になっているようで10月頃までに水揚げされるホッケ
は産卵前なので、脂ののりも良く飯寿司に適した状態で、11月頃から出回るホ
ッケは卵入りなので脂のりが悪く向いていないとか。
10月に水揚げがなく今年は諦めたと母の決断でした。
逆に、卵が入っているホッケは脂のりが少なく身が淡白なので、すり身に仕上げ
た蒲鉾に向いているらしく、正月の雑煮用のかまぼこ作りをせっせとしているよ
うです。
ちなみに、我が家のお雑煮は、薪ストーブで焼いた手製の切り餅を焼き、具財は
手作りのホッケのかまぼこ。
前浜で取れた寒海苔が入る醤油味。絶品です。
仕込むタイミングが天候や水揚げの時期による為、美味しい物を口に出来るって
特別で有難い事。
素材の良し悪しの見極め。
長年漁師の妻として家族を支えてきた母の目利きは健在です。
イカもホッケもダメだったし、今年は前浜でとれた小鯵で飯寿司に初挑戦した母。
ホッケの飯寿司と同等並みの美味しさだという事なので帰省の楽しみが増えまし
た。
今年も3週間余り。より寒さが厳しくなる北海道。
低温でじっくり醗酵が進むので保存食作りには最適な季節です。
追加でリクエストしたにしん漬け。
帰省頃にはいい塩梅になってるかな。
今月は今年最後のレッスン。
美味しいタイミングの食材によってメニューが決まるので、まだ悩んでます(笑)