マーケティングのターゲットとしてプロシューマーを想定したとき、私たちは何を考えねばならないか、またどう対応したらよいでしょうか?
プロシューマーとは一口でいえば、彼らは情報収集力、情報評価力、情報発信力、さらには情報を自在に編集して生活を営める人々のことです。
これら人々の情報パワーの向上は、取りも直さず市場を支配するカギは生産者など材の供給する側から、それを利用する需要者サイドに移ってきたという構造的な需給関係の激変を物語るものです。
こうした変化の時代になると、当然かつてのマーケティングのツールは無用の長物になってしまいかねません。効率主義、最適化、スペック格差、品質格差、ブランド格差、ジャストインタイム、アウトソーシングなど強み弱み分析(SWAT分析)など競争優位にどれほど役立つでしょうか?
例えば、食品であれば、味、サービスであれば高品質サービス、モノであれば使い勝手などいままで、多くはいまでも供給者が差別化として思い描いて強調してきたメッセージは、プロシューマーの生活の場では相対的に評価され瞬く間に有効性を失ってしまうからです。SWAT分析も後追い的に自己修正するだけで競争力を強化するには役立ちません。
それではどうするか?解決策はただ一つ「相手をただしく理解すること」です。そのためには、私たちは人々を生産者側の都合に立った顧客や消費者として見ることを即刻止めて、人として見据え、彼らは何をほんとうに欲しているのか?を発見することだと思います。
最近、CM作家「杉山登志」氏が、新聞に取り上げられていました。なぜいまさらに杉山さんかは、よく分かりませんが、思うに彼の映像の中にある人間性への眼差しが失われた記憶として再評価されてきたのでしょう。そして制作者の前に先ず人間であるという単純な真実を改めて制作者達が気づかざるを得ない時代となったのかもしれません。
それはさておいても、「人々が欲しているのはドリルではなく、数インチの穴である」というT/レービットの言葉はまさに至言、いまさらに思い出す次第です。