第198回『門松は□□□□□の一里塚、めでたくもあり、めでたくもなし。』

 いかがお過ごしですか?□のマス目に文字を入れて見て下さい。有名な格言ですよね。
例えば、お年玉は、昨年より4、000円アップとか?子供にはよろこばしいことでしょうが、親にとっては思いは複雑。ボーナスが増えた?増えない?カットなど事情は様々な年末でした。
景気の見通しも、政治の見通しも、何の一里塚でしょうか?
お遊びはさておいて他人様のことを考えるよりスタートはターゲティングとポジショニング、そして自社のコアコンピタンスをクールに見つめることではないでしょうか?
同時にそれは「お客様の幸福実現に何を提供することできるか」を明確にすることでしょう。そしてこのことこそ投資機会を生むものだと思います。
余りに当たり前のことかも知れませんが、こうしたことのブレが現状のビジネス活動の混乱、退化を招いてきていると思うからです。

▼見渡せば「銭ゲバ」ジャパン。

例えば今年で終わりのアナログTVなど、まさに好例ですが、この技術革新によって「幸せ」になるのは誰なのでしょうか?優れた映像技術による表現はけっこうなことですが、地デジにより選択肢が大幅に拡大したにもかかわらずコンテンツの水準は、むしろ退化しており、どこのチャネルを見ても同工異曲、結局は「紅白」に収れんしたのが年末の状況でした。誰かが言っていましたが、「地デジにしてもつまらない番組ばかり。見ていて腰が痛くなっただけ・・・」には納得です。
 エコにしても、クルマ、家電ではエコポイントという名の国税を使った「バーゲンセール」、この国による援助がなくなると、企業は、京都議定書で取り決めた環境規制に文句を言うばかり。
 話は私事に及んで恐縮ですが、いま私はささやかながら「シルクロードの健康的な未来を考える会」なるNPO活動に首を突っ込んでいます。こうしたなか漏れ聞いてくるのはODAなどを始めとして途上国などの支援を、日本にとって利をもたらす国・・・例えば資源がある、とか、日本製品にとって市場性があるところに絞り注力をしていく考えだとか!早い話、見返りがない国は切り捨てて行こうと・・・。ちょっとおかしくありませんか?
不況は日本人ビジネスマンやブレーンなどを「拝金」の腑抜けにし、理想を失しなわせつつあるのではありませんか?困ったことです。

▼セクショナリズムに陥った専門家たち

 日本は世界に冠たる技術国家だそうです。確かにそうかも知れませんが、技術は進化するほどに専門性を増して、他の技術との関連を拒んで「たこつぼ化」する傾向にあるとも言われます。ガラパゴス現象などまさに典型です。こうしたことはなぜ起きるのか?市場を限定的に捉えそこでの優位性を発揮するために技術差別を追い求めるあまり、大局に立った視点が見失われて技術現場がセクショナリズムに陥って、進化がゆがんだ方向に進む結果だと思います。これにはリーダーの責任も多大にあると思われます。
 2011年以降、私には景気が良くなるかどうかは不明ですが、想像するのに日本は景気をリードする側には立てそうにないのは残念なことです。
 ハイブリッドか?電気自動車か?どちらが技術的に勝利するか?はそれなりの関心事ではありますが、しかし、GEが提唱する「エコマジネーション」などの構想を前には両者の優位論争などどうでもよく思われ、どうにも影がうすい。
正直、これってT社さん、N社さんのお話でしょう?!さらに言えば日本の自動車企業が優位に立ってなにがうれしいの?です。そんな時代は終わったのではないでしょうか?

▼「大丈夫か?」症候群

 「エコマジネーション」はスマートグリッドを含めて社会インフラの革新を通じて社会のサステナビリティを維持していこうとする壮大な構想ですが、すでに5年前よりGEのCEOが先頭に立ち推進しているプラットフォームづくりプロジェクトです。
確かに大風呂敷の感もあります。しかし、トップ主導のこのリーダーシップは蔓延っていたセクショナリズムの壁を打ち壊し、技術や営業現場の夢をかき立てるに効果をあげているようです。また世界の投資家の共感を得ているのも事実です。
 同様なことはマイクロファイナンスの運動にも感じられます。この成果には批判もあるようですが、しかし、「マネー」と言う世界共通メディアを利用し貧困の撲滅を目指すこの考えは魅力に富んでいるように思えます。
 話を中央アジアに戻すと昨年、資源大国と評価されているカザフスタンの年末パーティは東京の一流高級ホテルで執り行われたそうです。日本企業の同国への熱い視線を感じます。儲かりそうなところにはこぞって手を出す、そうでないところには鼻もひっかけない・・・。相変わらず官民挙げての「大丈夫か?」症候群の典型です。
これで大丈夫?と聞きたくなります。

▼「幸福の意識的な追求」

 いま日本より貧しい国が元気です。昨年、9月ブータンのテイレン首相は「幸福の意識的な追求」を国連総会で提唱し、喝采を博したそうですが、ここに可能性に挑むアジアのリーダー達の姿を垣間見る思いです。
「世界には不安が蔓延しているが、それはモノがないことではなく幸せが足りていないからだ」との彼の指摘でした。
 時代は「古い富」を捨て「新しい富」の獲得に舵を切ったようです。
私たちは、どうやら「幸福の意識的な追求」を目指して動きながら、考え抜かねばならない時代のまっただ中に放り込まれたようです。
 こうした現実を迎えての取り組みの原点は、大局を見据え、多くの知を集めるビジョンを創っていくこと・・・。さもないと年追う毎に破綻の道の一里塚を辿ることになってしまいそうです。
「こいつあ、初春からてぇへんだぁ!」 

1件のフィードバック

  1. 先日、T君の結婚式でお目にかかれてとても嬉しかったです。私の中では、野上弥生子がビジネス書を書いたら、宇田さんのような文章だろうと合点してきました。また、過去の写真で、宇田さんと女の子たちが火にあたりながらバスを待つ写真が忘れられません。これからも拝読させていただきます。

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