先日、ご縁があって東京より凡そ3時間のリゾートにお邪魔しました。
この観光地は、テニスブームに支えられて、いっとき若者を中心とした人気のスポットでした。
しかし、バブルがはじけて以降、年を追う毎に観光客が減ってきているとのことで、最近はリタイヤした後の生活を楽しむ人が移り住み、そうした新たな住民が増えてきているのがわずかの光明とかで「先行きは見えない」。
ご案内頂いた方のお話です。
このような話はどこでも耳にすることです。
観光ばかりではありません。
消費の多くの局面で、時間は、高齢化、少子化のもたらす影響を正確に刻みつつあります。
そして人々の求めるものも大きく転換しているのです。
そうした変化がもたらす現象が、最近巷の話題であるキントキ族。
オカネも時間もたっぷりのおばさん、おじさんの出現ですが、注目は「金」はとにかく「時持ち」の増大でしょう。
JRのCMではありませんが、「大人の時間は長いから・・・」の時代の現実化です。
しかし、こうした判りきった現実に対して、私たちはまだまだ準備不足である気がします。
何故手を打てないでいるのでしょうか?
理由は大きくは2つあると思います。
一つは多くの人々、とりわけマーケターが、「モノ」の関係でしか、生活をイメージし設計し提示できないこと、そしてもう一つは、さらに根源的な問題ですが、成長を測るに「量を基準」とする以外に尺度を持つことができないと言う、資本主義社会の仕組みとか、成長の神話とかに呪縛された発想にあると言えないでしょうか?
国境を越えて絶え間ない成長を目指すのも、一つの方策ですが、しかし、それは歴史家E/オーラスティンも言うように、「世界の矛盾をたらい回ししているに過ぎない」でしょう。
そして土地や国から離れることが出来ないのが多くの企業です。
かつて「逆転の発想」が一世を風靡しましたが、いまや本当の「逆転」つまり・無限から有限に、・量から質へ向けて価値の転換が必要とされている実感を抱きます。
ささやかなことで恐縮ですが、ある有名ホテルレストランでは、「1時間楽しんで頂くためのランチサービス設計」をして、いまや列をなす盛況です。
当初は、この値段、味雰囲気でと、お得価格を打ち出す考えだったようですが、逆に「昼時間の食事=ランチを楽しむ」人々に魅力有るサービスはどうすればよいか、と「時間を消費させる仕方」の提案に方向を転換したのが成功の理由だと同ホテルのマネジャーは言っておられます。
どうやらキーは「時間」への工夫にあるようです。
時で金を呼ぶ事例として頭の片隅に留めておきたいと思った次第です。