第10号『高齢化時代のマーケティングでは「聞くシステム」づくりが急務…・2』

話は飛びますが、最近、高齢者施設の仕事をしました。少なくともお世辞にもカッコイイ今風のそれではない施設でしたが、入所する人も通う人も双方の満足度は高いもののようでした。
そして、そこでふと感じたことは「聞くこと」の大切さです。それは施設のよさ、高度な医療を超えて利用者の「満足」につながっています。このことはこうした分野には止まらないのではないか、と思います。つまりこれからのターゲットは、売り込まれる存在ではなく、親しい友人であるかのように扱って欲しいと望む傾向が強くなっていくと思われるからです。例えば行き付けのバーのように店が自分の名前や好みを知っていてくれていることです。また自分に関心を持ってくれることです。そして自分も周りのお客もひとつのコミュニティにいることにやすらぎを、満足を得たいと望むからです。
こうしたアプローチにはマスマーケティングは似合いません。またそれでは期待のワン・トウ・ワンマーケティングかと云うと、それもメディアが変わったに過ぎません。これからの時代の成功ポイントとは、恐らく何よりも「よく聞くこと」から始まるではないでしょうか?確かに顧客の声に耳を傾けると云う手法は常識、基本のき化しています。がそれを本気で実践してきていたのかと云うとはなはだお寒い状況にありました。それは大変非効率な作業だからです。しかし、最近の商売の成功をみると、美容院、レストラン、パソコンメーカー、果ては航空会社まで1対1の関係を重視することから派生しているのも事実です。
よく聞いて、回答を出す。美辞麗句は不要、実践あるのみです。この「聞くこと」から生まれる信頼が大きな成長のエンジンでしょう。どこかの国のように「改善」の掛け声だけで暮らしを無視するやり方が人々の信頼を勝ち得ず逆に不安を蔓延させ、タンス預金を加速させて出口の見えないデフレスパイラルに陥っている現状を見れば、この「聞くこと」の大切さは十分納得できるのではないでしょうか?

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