最近、暇つぶしと健康のために町を歩く時間を多く持つようにしていますが、こうした折りとくに感じるのが日々の暮らし方の変化です。
例えば散歩。
私の住む街は都心としては緑が比較的多いこともあり、いま銀杏拾いが流行っています。
また近くを走る都電荒川線沿線の探索もブーム。
谷中千駄木探訪などはもはや定番と言えそうです。
こうした時間の消費の仕方の変化とは別に日々の暮らしの基礎である食生活の変化もあります。
旬の前倒し、専門性への傾斜、おつまみ化など、またB級グルメブームをはじめ店紹介、調理人紹介など料理情報の多彩化なども好例でしょう。
こうした動きを促進する要因には、「日常性の肥大化」が大きなムーブメントがあるためだと思います。
そしておそらく背景には男性ばかりか女性が社会化され、時間と効率化に支配されるようになった社会状況があり、その結果、日々の営みへの意識・価値が異常に高まってきたからではないでしょうか?
実感するように、現代社会では夫婦、家族、親子などそれぞれで共通のふれ合いの場が急速に失われつつありますが、そうしたなか、日常の役割は大きく変化し、物理的な暮らしのためというよりも、ふれ合いの喪失を埋め合わせるためのステージとしての日常、または家族をつなぎ止めるバインダーとしての日々の暮らしへと変わってしまったとも言えます。
これは家庭ばかりではなく、職場でも見られ、かつては嫌われていた社員旅行や飲み会という会社行事も復活してきたとか。
「一期一会」と言う言葉がありますが、いまや日常が一期一会であるかのようで、今手にしている絆、ふれ合いも一時にしか過ぎないという意識が暮らしの底に潜んでいるのではないでしょうか?
それは、毎日が一回性であり、この一度きりだからということから生まれる緊張感に耐えるには、インパクトのある癒しや刺激などサプライズを導入しないと家族や人間関係の紐帯が切れてしまいそうなほどに危機に溢れているからでしょう。
かつての日々是好日の時代の終わりです。
そうしたなか、ハレとケのサイクルは、よりスピーディな短縮化が促進されているようです。
私たちの暮らしは、1週間は土日を含む7日、それらの53回の繰り返しで営まれていますが、そこで求められているのがスピーディな場面転換、様変わり、鮮度ある話題性などでしょう。
暮らしに関わることを業とする私たちにとって、かつてのハレやケに縛られることなく、新たな日常と言う「一期一会」を感動的にするプランの開発が、いま緊急の課題に思われます。