第116回「プロなんていらない!?」

マーケティングに「プロ」なんていらない、と言うと自らの首を絞めることになる気もして恐ろしいのですが、これって本当の気持ちです。
なぜならマーケティングは、本来経営トップの仕事であり、入社したての若い社員のようなぺーぺや外部の訳知り顔のちんぴらの手には余る仕事だからです。

確かにマーケティングにはそれを業とする学者やコンサルタントなど専門家は掃いて捨てるほどいますが、こうした人々が「プロフェショナル」かと言うと話は別でしょう。かつてマスコミを賑あわせた「プロ」が、自ら起業したオフィスの経営に行き詰まり自らの命を絶ったという悲劇を目の当たりしました。
これは極端な例ですが・・・。

どんな会社でも、その使命の第一は、いつまでもその活動を続けることで、そのためには顧客を維持し続けなければならないことは自明です。
そしてこの大切な顧客を維持するには、顧客の不満をできるだけ少なくし、さらに彼等の本当のニーズやウォンツを発見することで、それによって、はじめて、より多くの売り上げと顧客の増大を図ることができるわけです。こんなことはマーケティングを少しでも齧った人なら常識でしょう。
そしてこの常識を実践して、その成果を実例をもって全社に示すのが経営トップの仕事だと思います。
そんなわけで洋の東西を問わず創業者は、自らが顧客を知るために売り買いの現場を歩き回り、そこから得た顧客への理解をもとにして製品を開発しプロモーションを考え、あるいは広告コピーまで構想しました。

しかし、事業規模が拡大し変化が加速化するにつれ、こうした経営トップは少なくなり、本来のこの「マーケティング」を組織に、いわば丸投げ的に移譲してきたのです。
そこではびこるのが、官僚主義と「プロ」と称する内外の集団です。

その結果、売り上げと利益がリンクしなかったり、十分な顧客満足度を獲得できないでいるという困った状況が目につくようになったのだと思われます。

彼らが顧客情報をいい加減に収集しているからとか、創造力が不足しているわけではありません。そればかりか、プロとしては優れた能力の持ち主だと思います。

それでは問題はなにか?彼らは創業者ではない、会社の未来に責任がないことです。
そして会社の目標と本来やるべき活動とをごっちゃに考えてしまうことでしょう。このことは、広告賞はたくさん獲得したけれど、売り上げには貢献しなかったという有名なコカコーラの話を思い出すだけで十分でしょう。

会社が集めたプロは話題づくりのプロ、販売促進のプロ、調査のプロー、マーケティング計画のプロではあっても「変化を先取りし創造していく」プロではなかったのです。そしてこのことを本当に追求できるのはトップにおいてしかないのだと思います。

もし仮に広告会社やコンサルタントがマーケティングの成功をもたらせたとしたら、それは偶然か、またはトップが聴く耳をもっていたと言う幸運に支えられたものに他ならないと思います。

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