第37号『「ホンモノ」への流れ』

大晦日、恒例行事であるNHK紅白、初めて頭から端までお付き合いしました。
時間余りの高齢者の特権とも言うべきか、それはともかくとして視聴率は50%を下回ったと言いつつも、やはり大衆番組の王様であることは変わらないようで、様々な調査手段とBS商売への魂胆を入り交じえつつ民意のあり様を探るお手並みはお見事というべきでしょう。
おそらくこの番組に反映された人々の反応は、大凡においての今の大衆の心を写しているとも言えるのではないでしょうか?
大げさに言えば、紅白は、人々の価値がどのように動いているのか知る目安であるかもしれません。
じゃ、今年の紅白から窺い知れる人々の価値観は、と言うことですが、どうやら「ホンモノ」志向へと流れているようです。
その表れが、白組の圧倒的な勝利です。ホンモノと言うことでは「ホンモノ」評価の視点が移りつつあるようです。

その一つはホンモノへの目が厳しくなったこと。

つまり見た目や表層的なテクニックではなく、「これ一筋」と言う自分と芸へのかけ方が、ホンモノの裏打ちにもなってきているようです。
成長が当たり前の時代では、ある程度の力があれば、戦力として評価してくれました。
商品・サービスも同様、ほどほどでも目新しければ魅力と成りえたとも言えます。
そこでふっとかつてあるカメラマンがスタイリストの仕事を評して「美人は大成しにくい」と言ったことを思い出しました。
要はちやほやされて仕事が甘くなると言うことでしょう。
もう一つは、「女性的なもの」への飽きではないでしょうか。
つまり、私的な心情、生活観で覆われた私空間、自己愛的な心情、自分だけの幸福感から脱して、大儀、挑戦、忍苦、雄々しさ、勇気などが感動の要因としてクローズアップされて来るような気配です。
しかし、注意しなければいけないのは、人々の心を無視した、自己中心的、表層的な男の世界は通用しないようで、これは某首相の人気低落で自明です。
ある演歌の大御所が「いかによろこんで頂けるかを考え50年歌い続けてきた」と述懐していましたが、まさにこうした顧客を最優先すること一筋の「ホンモノ」が輝く時代になったとも言えます。
いずれにしろの時代は、顧客中心にして新たな芽が芽生えつつあるようです。
皆様、いかがお考えですか。

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