第65号『脱コモディティの芽』

いまほとんどの商品・サービスが直面しているのは急速に進行するコモディティ症候ではないでしょうか?
量販、百貨店、巨人(スポーツ)、クルマ、外食など、多くの業態で収益悪化と客離れに悩んでいます。

その原因は挙げればいろいろあるとは思いますが、ざっくり切れば、わざわざそこへ行き、お金を出す意味が生活者には見えなくなっているからではないかと思うのです。
つまり消費の高度化に伴い、消費者のマインドが成熟し、その結果、多くの商品がコモディティ化してしまった。
その原因は、他社優位戦略として近視眼的発想が支配的となり、さらには「いま食えなければ明日がない」という過度な脅迫観念により「売る」志向が強くなったために、営業組織にとってわかりやすい「低価格」戦略が多く採用され、そうした弊害が修正されないままで今日に至っていることに起因している気がします。

私の狭い活動範囲での見方かも知れませんが、とくに実感するのは「売り」意識の空回りです。
かけ声だけで売り上げが改善されるのであれば、何の世話はないでしょう。
しかし、見る所、結果は逆スパイラルで、悪い方に向かい、営業現場は疲れ切っているのが実情ではないでしょうか?

営業は「足」だとよく言われますが、お客様側に「必要」や「期待」がなければ営業活動は迷惑行為に過ぎません。
こんなことは、恐らく多くのマネジャーは周知ことでしょうが、残念なことにこれを事実として捉え戦略的に営業を組み立て、それを浸透させる発想や教育する人材が乏しいのが実態ではないでしょうか?

一口に戦略的営業づくりと言っても、セミナーやコンサルタントによる座学では有効性はありません。
それでは、どうするか?ですが、私見では、遠回りですが、お客様の接点である現場を見て「質問」を多くすることしかないのでないかと思います。

GEのジャック・ウエルチは、質問を多くする達人であるとのことです。
当然、多く質問できるためには問題意識とそれを培う不断の勉強が必要でしょう。
GEの成長にはこうしたCEOの能力が寄与しているわけですが、これはこうした偉大なビジネスマンに限った話ではないでしょう。

もし「脱コモディティ」を仮説として現場を見たら何が発見できるでしょうか?
非才な私でも、多くのヒントが現場にはあることが分かります。
しかし、仮説のない従来路線を遵守する硬直化した枠組みの管理システムや組織では貴重な情報資源は捨て去られ、脱コモディティを導く知恵にまで発酵できないままにあると思います。

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