先日、連れ合いと近くのラーメン屋さんに行きました。
浮き沈みは世の習いといえ、店が生まれては消えて、店が長続きするのは容易なエリアではありません。
そうした中にあって特徴ある、いくつかの店が生残していますが、私達は、それら一つに入店したのです。
いわゆる「お客はよく知っている」の通り、その店は、人気(ひとけ)が少ない時間帯でありながら、来店客の途切れがありません。
記憶では2年前にこの店はオープンしたと思いますが、いまでは4つの支店を出している様子です。
こうした繁盛のキーポイントは?思うに、それらはレシピとお客の「絞り込み」、そして「演出」に尽きると思います。
まず「絞り込み」ですが、店構えがクローズド、そしてレシピはラーメンのみで、あとはトッピングでバリエーションを付けていること。
スープは、この各店舗に限っては、醤油、みそ、塩の3種類ですが、支店はそれぞれに特化した1種類のみ。
また喫煙顧客へのサービスはなし。
一方「演出」については、店舗のおよそ3分の2が厨房で、ガラスにより仕切られた麺製造工房とカウンター対面式のオープンキッチンで構成され、客席はその分制限される店舗レイアウトです。
また従業員はラーメン店店員らしくなく、無駄口は叩かないが感じの悪くないクリエイター感覚の人材を集めています。
言ってみれば、ラーメンの「作り手」としてのこだわりが店・人・サービスにおいて表現されているのがこの店で、硬く表現するとお客との接点に戦略性をもっていること、そしてこうした戦略が「見える」店なのだということでしょうか?
話は飛びますが、いま成長著しい台湾の家電メーカーでは、「スリー・シックス・ワン」というコトバが使われているそうです。
これは消費市場で差別化できる特徴や機能、さらに価格を生み出すのに3ヵ月、これらで儲けられるのが6ヵ月、そして商品が陳腐化して在庫となり、それを一掃するのに1ヵ月と言うことだそうです。
つまり新商品のライフサイクルがわずか10ヵ月しかもたないという時代認識で、これに勝つには並大抵では困難でしょう。
このライフサイクルの短縮化は家電ばかりではなく、程度の差はあれ、多くの企業が経験している筈です。
極論すればいまは造ること、差別化すること、価格を安くすることに企業努力を傾注すればするほど自らの首を絞めることにもなりかねない時代かもしれません。
こうした時代のマーケティングを考えると、むしろどんなカタチで提供するか、どのようにロイヤルティや満足を与え維持するか、が課題になりそうです。
そして特に、このラーメン屋のように、お客様との接点においていさぎよいスタイルを打ち出し、それが分かる大胆な「見た目重視」戦略施策こそが、いま、製販双方では、重要になっているのではないかと思われます。
因みに連れ合いはこの店が気に入ったようで、リピーターになりそうな気配です。