恒例の、と言えば大晦日の〔紅白〕ですが、年が明ければ、もう一つの恒例、それが元旦の新聞広告大特集ではないでしょうか。
記憶によれば、この企画がトーンダウンしたのはオイルショックで景気が落ち込んだ年くらいで、それを除けば、別建て編集企画による水増し増ページとカラー全ページ広告の目白押しで、それが今年も続いています。
かつて先輩から、元旦の広告は要チェック、表現その他一流企業の想いが盛り込まれているから勉強になるよ、と言われて広告屋の性で、いつの間にか目を通すのが習慣となり、それが幾星霜、なにか悲しい気にもなるこの頃です。
それはともかくよくもまあ相変わらずの広告が、出広されるものと、お祝儀広告の大判振る舞いで流石、勝ち組み企業は景気がよいわい、との感を強くした次第。
こうしたなか、目を引いたのは広告上手で定評のある某化粧品メーカーの広告です。
この会社は毎年、その年の女性美を新春広告で提唱しているように思うのですが、今回はヤングから熟女に至る年齢を超える?美しさを表現するべく各世代の旬な美女12名を起用していました。
コンセプトは、エイジレス、不肖な私から見ると、皆同じ。
時分の美しさはむろん、自分らしさや個性はどうしたの?っていう感じです。
同時に、この無個性さにややおぞましいさをも感じました。
そして思い至ったのが彼女らはアンドロイド、つまりは某メーカーの手になる2006年製造の人形なのだと言うことです。
そして彼女らを美神とする私たち自身も、また・・・。
私たちは誰かに造られていて、そうした自分を本当の自分だと思い込み、誰かの創るシナリオの世界で自身を演じているのではないか、今更ながらに、ふとそんな思いに囚われました。
まさに、高度な情報社会は幻影の社会、本当の実体そのものより、情報で作られた見かけこそが実体であり、価値であることの、これは極めて象徴な広告だとも言えます。
「女は男次第」はいまや死語ですが、代わって「女は情報次第」、怖いですね?