いま噂のweb2.0と言うこともあって、年寄りの冷や水を承知で、2つのセミナーを聴講しました。
私レベルでは基本的には生活者サイドからの発信が幾何学級数的に増え、講師のお話ではいまや1億以上の発言(CGM))が貴重なマーケティング資源として存在している、またユビキタス時代の到来を考えると無限に近い情報が発信され、企業行動を、当然ながら生活行動を大きく変えていく、その結果、また新たな情報モデルが必要とされてきている、と言うことが何となく理解できた次第です。
このことは全くその通りだと思いますが、一方、ここ数年を振り返って見ると、数多くの情報技術を背景にして高度なセグメンテーションツールが生まれ、より肌理の細かいアプローチが手軽に出来るようになったと言われています。
しかし、その成果として、マーケティングの成功率は向上したのでしょうか?
現実にはとても心許ない気がします。
CGMに例を取った場合、膨大な生活者から発信される情報は、ある商品、ブランドに当てはめて見たとき、真の実効を果たすのでしょうか?
当然のことですがセグメンテーションは、収益をもたらす集団を特定できてこそ初めて効果を発揮するものです。
また購買の意志決定でも、ご承知のように、売り場のあり方、接客のあり方ひとつでも変化します。
とりわけ消費者の思い入れの強い商品、価値観に関わる商品やサービスでは、市場全体の価値観と、消費者個々の価値観と異なる場合が多いことも要注意です。
とりわけ危うさを感じるのは、ITを駆使するマーケターたちの、「売り」の現場、人への経験不足と技術への思い込みです。
私は、広告会社出身ですから、これらデバイスが広告プレゼンには有効である気はしますが、広告プロモーションはマーケティング活動の一部にしか過ぎません。
しかしセグメンテーションは広告のツールではないことは自明です。
重要なことはこのツールによってプロダクト・サービスに「買い」を誘うトリガーとなるセグメンテーションを盛り込むこと、またそのトリガーがどの顧客にベネフィットを提供するのかを発見することではないかと思うのです。
はなやかなITのもたらす未来のお話を聞きつつ、痛感したのは自分の足と目で探る土着的なセグメンテーションへの立ち帰りの必要性でした。