第109号『なんたって3サセ』

いらっしゃーい!広告ビジネスへ。
いよいよ新しい職場。
希望する広告ビジネスの第一歩踏み出したわけですね。
おめでとうございます。
広告ビジネスには花も実もあり、力次第では恰好いいキャリアが待っている・・・なんて、まさかあなたは思ってはいないでしょうね。
広告ビジネスを目指したあなたは、おそらく学生時代は、気が利いていたり、面白いアイディアを披露したり、けっこう友人達の中では人気者であった、のでは。
仮にスカウトされてきた人なら「君に任せたい」などと遣り手っぽい業界人に口説かれて転職してきたりしたのではないでしょうか?
そしていよいよ本番、あなたの腕や才能を見せるステージです。

しかし、
現実はおおきく違います。
言ってみればあなたの能力などビジネスの現場では、まったくカンケイナーイことにすぐ気がつく筈です。
それに気がつかねばかなり鈍感です。
振り返って見ると、私も志に胸を熱くして某大手広告会社の新人歓迎会に出席したことがあり、その時のことは、今でも鮮明に覚えています。
当時は「広告ビジネス」の近代化を業界が課題としていた時代であり、広告産業を構成する主な企業、例えばクライアントまたはスポンサー、媒体社のそうそうたるお歴々が業界に迎える私たち新人に夢や希望を熱く語って、明日の展望を示してくださった祝賀の会でした。

そんな祝辞を述べる方々のお一人の言葉は、その後の私に、いい意味でも悪い意味でも大きく影響を与えたと、いまこの歳になっても思います。
その方はTV局の局長で名物男の誉れ高い豪傑でしたが、曰く「広告ビジネスは3サセだ」と明言されました。
3サセとは、ご存じでしょうか?
一つは飲ませる、二つは握らせる、三つは抱かせると言うことです。

純真無垢の新人には強烈なコトバでした。
そして深く胸に反発心を抱いたものです。
しかし、長年仕事をする中でこの3サセは無視できない現実でした。
以来、半世紀、広告ビジネスはメディアの変遷にともない多彩な変化を見せてきています。
しかし、「近代化」されて透明なビジネスになっているでしょうか?
最近、ゼネコンや官民癒着の構造が明るみに出され、とりわけこれらの業界が利権に多くを依存していることが批判されています。
私は本音では、一時の嵐にすぎずまた元の鞘に戻ると踏んでいますが・・・?

広告ビジネスも、同様であるように思えます。
それは昔の話でしょ!ともし私の意見に疑問を抱かれるなら、あなたの会社の収益構造を一瞥してみてください。
大手であればあるほど、タイムやスペースのブローカービジネスで構成されているはずです。
まさに利権に立脚しているのです。
また中小であればタイムやスペースの維持に経営側は最大の努力、ある意味では屈辱的な努力を払っていることでしょう。
こうした中にあって、あなたのアイディアなどは、「糞食らえ」です。
ブローカービジネスでは、まさに3サセがパワーを発揮しているのです。
もちろんいまは、あの水戸黄門さんの時代とは違い、手口はスマートです。
「M屋、お前も悪だのう」とは言っているわけではありません。もちろん。

こうした現実と折り合いをつけ、広告ビジネスマンとして価値を身につけていくか?
これからのあなたのビジネス課題です。

ごめんなさいね、冷や水を掛けて・・・。

ま、すべてはこれから、しばらくはあなたの気分を汚すお話を続けましょう。

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