第197回『時代の流れはサステナブルへ』

▼Goodby! 寅年

 クリスマスイブ、もはや胸躍る聖夜という年齢ではありません。それどころか、もっぱらサンタとして孫たちに臑をかじられるのが精一杯。
  序でながら、来年は卯年。私は年男でもあります。
漢和辞典によれば「卯」とは草木が覆う状態で今年の寅より多少元気が出るような意味です。また卯酒とう言葉がありますが、それは朝酒のことを言うらしい。
しかし、周りを見ると朝酒でほろ酔いの気分にはなれない。景気の低迷は年変われど相変わらずとの見立てです。
でもはっきりしたのは時代の潮目の変化。大きくみるとトレンドは「サステナブルへ」と向かうことは間違いないようです。
 当然、この潮流への取り組みは今年でも予兆はありました。
しかし、考えねばならないのは今日のビジネスサイドの取り組み姿勢ではないか?と思います。
 景気の予測では、来年についての不安要因の一つはエコカー減税、エコポイントの終了による大型消費財の需要の先食いその影響による景気の失速が挙げられています。
しかし、もともと、こうした税金投入による作られた需要は、無理があり、こうした官主導の市場創出を期待するのは、余りに虫が良すぎはしないか?これら恩恵に預かることが少ない身のひがみかもしれませんが・・・。もちろん私はエコに反対しているわけではありません。

▼気になるのは小手先の対処療法?

 しかし、見るところエコに対する企業の対応は、対処療法的。場合によっては被害者意識を強く抱いている企業が、いまだに多いのではないか?と感じられることです。
 例えば日本のエコ規制は厳し過ぎ、グローバル競争での競争力を削ぎマイナスとなると言う考え、また企業収益の圧迫、さらには企業活動の枷や制限になるとかの意見です。言って見れば余計な「環境はコスト」と言う考え。
果たしてそうでしょうか?年の瀬の一時、ふと歴史を振り返って見てください。
 少なくとも最近50年、半世紀、企業は2つの大きな潮流メガトレンドに巻き込まれました。第一は品質競争、幸い日本企業がリーダーシップを取って勝ち組となりました。
第二はITによる生産性・効率化を目的としたスピード競争です。またネットワークベースのグローバル市場での競争です。この競争は、経済先進国においては痛み分けというところ。併せてアメリカ、日本、EUの優位性が崩れ、成長の風向きは新興国へと変わったと思います。
 そしていま環境・資源問題を基本にした持続、すなわちサステナビリティがメガトレンドとして登場しつつあります。
かつて若いとき衝撃を受けたローマクラブの予言「成長の限界」への取り組みがついに現実的なビジネス課題となってきたのではないか?と思われます。
ローマクラブ゛の提言は「化石燃料の枯渇」への危機感からなされたものでした。それだけに技術革新で対処できるレベルでした。
 しかし、いまの問題は、化石資源の枯渇だけでなく森林資源の減少、地球温暖化、水不足、生態系の変化、人口分布の変動などもっと複雑。人類すべてのサステナビリティの危機が予測され、こうした問題の解決には、技術革新レベルではもはや限界があります。また課題発見型の改善志向も有効ではないと思われ、それに替わって目的志向による国境を越えたインテリジェンスの集積、先進技術の駆使とコラボレーション、人・モノ・カネの世界規模での対応などなど従来とはまったく違った次元での対応が不可欠とされています。

▼ビジョンマーケティングの実行

 最近サステナブルな戦略の成功事例の代表として耳にするのはGEの展開する「エコマジネーション」と、その一部である「スマートグリッド」や「リバースマーケティング」です。
 このエコマジネーションの特徴は、GEの成長戦略だと言うことです。この取り組みは2005年より始まり環境問題の革新的な解決とお客様価値創造を両立させると言うGEからのコミットメントそのものでもあります。
GEではこのビジョンのもとに、お客様、政府、NGO,大学とのパートナーシップを強化し、大きなビジネス成果も上げています。
 
▼課題はサステナブルに取り組む戦略的ビジョン&デザインと実行

 こうした動きを目にするに付け気になるのは日本の企業。省力、省エネ、省資源をはじめとして、ソーラーパネル、ハイブリッド、LD、ナノなど優れた環境技術がありながら、いまひとつぱっとしないのはどうしたことでしょうか?
 もはや常識ですが、どんなすぐれた技術でも、技術のみに依存している限りにおいては成功は期待できません。また技術優位性はいつまでもは持続しないことも自明です。
もちろん価値創造には技術あっての話ですが、必要なことはその技術をコアとして時代のニーズに的確に答え価値を創出するか?のビジョンの開発とそれに基づくプログラム立案、それらのすばやい実行ではないでしょうか?
「サステナブル」と言うメガトレンドは堰を落とされたばかり。
GEとてスタートを切って成果を確信したのはわずか数年前。「学ぶ」は「真似べ!」です。
日本も含めアジアの諸国はパクリの上手いお国柄です。独自性や独りよがりの自信や意味のない驕りは捨て、戦略的に、まずはパクリ、でいきましょう。
 脱兎のごとく動くが勝ち、リードしてれば競争は優位だ、と思います。卯の刻は朝6時、日の出はもうすぐです。
 皆さま、良いお年を拓いて下さい。
でも木の根につまずく兎を待っても、「待ちぼうけ」ですよ。

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