第4号『反顧客起点マーケティング』

いまちょっと話題になっているのが、マーケティングの泰斗 P・コトラー氏にポストモダンマーケティングの第一人者のS・ブラウン氏が噛みついたことでしょう。氏曰くは「顧客第一主義のマーケティングが、マーケティングを退屈極まりないもの」とし、その責任はP・コトラー氏にあると手厳しく批判したことです。この論争についてご興味のある方はHBR7月号をご覧になることをお薦めします。が、この論争について思うことは、私たちが顧客主義と言う耳障りのよい麗句にともすれば依存しがちであり、本来あるべきマーケティングのエネルギーとも言うべき 創造性、柔軟性、大胆な勇気と言ったビジネスマインド、日本流に言えば商売人根性が、いま失いがちになっていることへの警告ではないか、と言うことです。ご承知の通りマーケティング活動には、顧客の声に耳を傾けることと併せて顧客に妥協を強いることもあり、また顧客は強いられた妥協を受け容れてくれているわけでもあります。しかし、こうした妥協は、受け容れ慣習化されるにつれそれを超える何かへの期待も潜在化しているのです。
そこに企業から見ると妥協を排していく意味が見えて来るのです。その意味では妥協を排し何よりも自身の創造性を叫ぶポストモダンマーケティングはあっちもこっちも八方塞りのなか、心の萎えがちなマーケッターにとってはナイスタイミングの応援歌かも知れません。しかし、これは決してコトラー流のマーケティングと矛盾するものではないことは、むろんのことと思いますが・・。

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