「どこに住んでいるか?」はマーケティング情報の基本の一つであることは言を待ちません。
でも、実際の処、このセグメンテーションツールですが、エリアマーケティングを別つとすれば、マーケティングコミュニケーションにおいて意識されることは少なかったと思います。
その最大の理由は、個客へのアプローチが非効率であったこと。
また日本は同質であるという常識でしょう。
しかし、いまや個客を基盤にして肌理の細かいマーケティングを組み立てることが可能となっています。
そしてターゲットが「どこに住んでいるか?」は大きな関心事となってきました。
とは言っても、その答えも一筋縄ではいきません。
例えば連休や夏休み、正月など帰省する人々は生まれ育った土地である故郷に日々の生活基盤をもっていません。
また都会に暮らす私にしても登録されている住所の地域とどれほど生活の関わりを持っているでしょうか?
確かに空間的に居住していますが、隣人は限られていますし、町で出会う人もかつて飼っていた犬のご縁で知り合った、いわば犬縁の人々で犬の名前は知っていても、当の飼い主のお名前は知らないのです。
私たちはいろいろなご縁で結ばれているわけですが、かつての血縁、地縁はいまや希薄となりました。
それに代わって、つい最近までは社縁が、とくに男性にとってかもしれませんが、大きく幅を効かせていたのはご承知の通りです。
が、こうした縁も企業への人々の関わり方が変わり、その結果、社員旅行や会社挙げての飲み会などの行事の衰退に見られるように過去のモノとなっています。
そしていま浮上しつつあるのは機能を基本とするコミュニティーでの縁ではないでしょうか?
その典型はオタクで代表される趣味、経験、知識を持つ人々同士の情報を交流する縁でしょう。
インターネットはこうした情縁形成さらには知縁形成を加速させ多彩にしています。
また専門誌も地味ですが健闘しています。
こうした縁で結ばれる人たちは相互に教育し合い、影響し合って市場変化を創っていることは進行中のできごとでもあります。
もちろんこうした人々がメガマーケットを形成しているわけではありません。
しかし、そこには固有のニーズや価値観が生まれてもいます。
成熟化の市場では彼らの市場ニーズに答えつつ生涯顧客にしていくこともまた重要です。
またそこには脱コモディティへのカギがあるかもしれません。
「あなたはどこの住民なのか?」をマーケターはいま再度問うてみること、そして住民についての知見を得ることは必要なことだと思います。
あなたはグーグルの住人ですか?
ミクシーの住人ですか?
新たなセグメンテーションの切り口の登場です。