第400回 「幸福度世界一の国」デンマークレポートまとめ

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今年最後のブログになりました。
奇しくもこのブログを書かせていただき始めてから、偶然にも今日が400回目。足掛け10年になります。

それまでブログを書いたことがなかった私が、ここまで続けてこれたこと、そしてファンサイトを離れてからも、快く書き続けるチャンスをくださった川村社長と奥様の幸世さんに心から感謝申し上げます。

さて、先日までで「幸福度世界一の国 デンマークレポート」もようやく終わりました。
そこで総括というわけではないのですが、やはりこの旅行が今年一番のビッグイベントだったということもあり、全体を通じて感じたことを記したいと思います。

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●「当たり前のこと」が実現できている国

今回デンマークに行って最も感じたのは「当たり前のことが実現できている国が実際にあったんだ」という驚きです。
戦後の日本で生まれ育った私たちは「政治というものはなんだかアンタッチャブルなもの」「どこに投票したかとかを他人と共有するものではない」といった社会通念にいつの間にか慣らされています。

しかし本来、政治とは結果的に自分ら、そして未来の日本に生きる人々の生活そのものであり、そこについてどうあるべきかを話し合うことは、自分らの生き方を考えることであるはず。
言うなれば責任と義務をもってそこに向き合うのは「当たり前のこと」だと思うのです。

それを国民の多くが理解し、喧々諤々の議論と、時には失敗や試練をくぐり抜け、理想に近い社会を実現してきたのがデンマーク。
これまでは「そうは言っても理想と現実は違う」とわかったようなことを思い、理想を実現できない言い訳にしてきた気がします。

しかし、それを実際に目の当たりにしたことで「どうしたらできるのか、どこが違うのか、どこから変えればいいのか」という考えに変わった気がします。

これまで日本人が向き合わずに「なんとなく誰かがやるもの」と思っていた政治というものについて、多くの人が「それは自分自身の生活なのだ」と考えてもらえるにはどうするか、というアプローチをこれからは考えていきたいと思います。

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●個の尊重と共生のルールのバランス感覚

また、デンマークでは「個の尊重」が日本と決定的に違うな、とも感じました。
訪問した小中学校では、体育の授業でバレーボールのような競技をしていました。
「のような」というのは、日本で私が見た「競技スポーツ」とは全く違うものだったからです。

もちろん、競技として行うクラスも別にあり、そこでは皆が真剣にバレーボールをやっているそうなのですが、私が見たクラスはあくまでも「スポーツを楽しむ」ことが目的。
サーブはしょっちゅう引っかかるし、挙げ句の果てにはボールを蹴ったりする子もいたりするのですが(笑)、先生は決して怒らず、しかしちゃんとルールに則ってゲームを進めていました。

日本ではとかく「一億総●●」が好き。
結束力という意味では大変優秀な部分でもあるかと思いますが、その結果「個の尊重」は優先度が低く見られていたのではないかと思うのです。

もちろんなんでもかんでも個人の考えを尊重するだけでは無法地帯になってしまうわけです。
それでも結果として幸福度を感じている国民が多いというデンマークの現状を見ると「個を尊重しながら、しかし最低限のルールに関してはコントロールする」というバランス感覚を、デンマークの国民が社会通念として心の中に持っているということなんだろうなと思ったのです。

これが日本の学校のなかでも醸成されていけば、おのずから議論をする下地ができ、それが結果として社会をよりよく変えるために皆がいろいろな問題に向き合う準備ができるのではないかと思いました。

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●さいごに
上記のようなことを感じたまとめとして、ではどこが最も大事なのか、ということについて妻や友人らと話した結果、やはり「教育」なんじゃないかいうことに今のところなっています。
それは学校教育ではもちろんのこと、大人に対しても意識を変えるという意味では教えてあげることが必要なのではないかと。

よく日本の現状を嘆くと「日本人を批判するな」という論調のご指摘をいただくことがありますが、そもそも知らないことが自分も含めてまだまだ多い。
特に日本にも応用できる海外の事例などについて、日本人は残念ながら圧倒的に不利なのは事実です。

その意味でも、少しでもその現状に詳しい人達と繋がり、そこで得たものをさらに他の人へ共有していく、その過程が「教育」に近いのではないかと思うのです。
それは決して上から目線ではなく、また概念的なものではありません。

そこには教育の末にデンマーク人が獲得した幸せな社会の姿が目に見えるかたちとして実在しているのですから。
今年実感したこの経験を、日本で暮らす私達なりにアレンジしてみなさんにお伝えしていけるのか、それを来年のテーマのひとつとして考えていきたいと思っています。

今日は快晴ですが、大変寒い1日。これからさらに冬本番を迎えます。
相模原に越してから最初の正月を控え、来年はさらに自分らの目指す生き方を実現していきたいと思います。
今年1年間、私の拙いブログにお付き合いくださりありがとうございました。みなさまも良いお年をお迎えください。

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