第389回 巻き添えはゴメンだ。

選挙が終わりました。
蓋を開けてみれば、投票率は最終的に54.7%、戦後で4番目の低さだったそうです。
18歳選挙権も今年から導入され、しかも期日前投票が1598万人と過去最高を記録したにも関わらずです。

結果としてはご存知のとおり、自公政府が憲法改正発議に必要な3分の2の議席数78に一つ欠ける77議席を獲得。その数日後に無所属の議員が自民党になるというわけのわからないトリックもあり、結果として改憲勢力の議席数を確保しました。

投票速報番組の記者会見でいきなり安倍総理は、憲法改正について「前文から見直したい」と嬉々とした表情で語られていました。
今回憲法改正は公約の最後にちょろっと書いてあるだけで、改憲について選挙演説では一言も発していないにも関わらずです。
「やはり予想通り」というか、分かりやすい演出でした。

今後どうなるのかですが、
1.衆議院で趣旨説明のあと憲法審査会、本会議で可決
2.その後参議院でも同様の手順で可決後、国会により発議
3.国民投票実施
という3ステップを踏むことになります。
安倍総理を筆頭に、自民党の悲願である改憲にむけた大きなハードルを2つまで越えたということなのですね。

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しかしここには大きな問題が2つあります。
それは、この意思決定に参加した人が二人にひとりという事実、そして今回提出された改憲草案でどこがどう変わるのかをどれだけの人が知っているのか、ということです。

どう変わるのか、ワードの比較機能でわかりやすく対比してくれた方がいますので、興味のある方は目を通してみてください。
http://editorium.jp/kenpo/const.html

以前から不思議に感じることの一つに、この国の行く末に市民として意思表明している人の少なさがあります。
有権者の半分しか意思表明をしていないなか、改憲に大しての意思表明をする人の数はさらに減る。

内容を理解し、ロジカルで前向きな議論をできる人の数はどれくらいいるというのでしょう。
こう考えると、実質的に有権者のなかで改憲に賛成なのは、実質自公支持者である約2割の人達だということになります。

これは意見ではなく、小学生でもわかるファクト(事実)です。

しかし最近思います。
この投票にも行かず、改憲などに全く興味のない人々は、ある意味すべてを受け入れる覚悟ができているのかもしれない、と。

基本的人権がなくなったり、表現の自由が保証されなくなったり、緊急事態が起きて選挙が無くなったり、ということなどをすべて受け入れる。
それくらい達観した心持ちの人たちなのかもしれない、と(笑)

これまで紙面や画面を賑わすことがそれほどなく、自民党のマニフェストでも最後に数行書いてあっただけの改憲を、選挙後はメディアもこぞって取り上げ、モードはすでに「改憲ありき」に見えます。

このような状況において、選挙に参加しない半分の人達は、もしかしたら自分が、または身内が戦争で死んでも、それを受け入れるのかもしれない。
だとすれば何が起きても怖くないのだろうし、納得できるのかもしれないですよね。

でも、そんな人達が二人にひとりという状況のなか、その人達と共に生きていくうえでは、自分が巻き添えをくらうのだけは勘弁してほしい。

これまでいろいろなことをやってきたのは、ただその一心です。
その人達には自分や家族の人生があり、それは尊重されてしかるべきだと思います。
だから私は私の意志で、それに対して意志を表明していきたい。

世の中を変えたいとかそういうことよりも、その達観の巻き添えだけはゴメンです。
選挙後、再び静かになったように見えながら、この国は再び歩き始めました。
私たちの生活はどうなっていくのでしょうか。これからもしっかり見ていきたいと思います。

 

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