社長対談 第3回・プロバスケットプレーヤー 森下 雄一郎氏

プロバスケットプレーヤー 森下 雄一郎氏 × ファンサイト(有)代表取締役 川村 隆一


社長対談 第3回・プロバスケットプレーヤー 森下 雄一郎氏

川村:
今回は、アメリカのプロバスケットチーム”AND1 MIX TAPE TOUR”にアジア人として初めて選ばれた森下雄一郎さんにお越しいただきました。
森下:
よろしくおねがいします。
川村:
AND1の試合は9月17日に東京で、21日に大阪で行われる予定で、チケットは¥12,000~¥7,000という高額なものだと伺っています。でも、いまの世の中に大切なのはこうした価値をわかってくれる人をどれだけ集められるかだと思うんです。森下さんはAND1のファンだけでなく、ご自身のファンも持っていると思うのですが、森下さんにとってファンってどんな人なのかな?
森下:
人の魅力って、その人の『軸』がどうなのかだと思います。軸がぶれてる人は話しててもしんどいし、人が人の心を動かすかどうかはその人の人柄なんです。そこがシステマチックだったり機械チックだったりすると魅力が激減すると思うし、人間臭さや義理人情といった人として当たり前の部分が大事なんじゃないかと 思うんです。
川村:
なるほど。
森下:
いま、特に東京なんかだと、「この人といると得しそうやな」とか「儲けられそう」という気持ちがあるじゃないですか。僕の理想を言うと、「この人や!」とリスペクトできた人との出会いから社会に貢献できる仕事ができたらそれがベストやなと思うんです。遠回りかもしれないけれど、そっちの方がいいものができると信じています。
川村:
僕は単純に「こいつと飯食いたいな」っていうだけなんですよ(笑)。自分がオフィスを構えるときは台所がついているところというのが頭にあって、お客さまであれ、スタッフであれ、飯食えるというのがすごく大事だなと思ってるんです。
森下:
あとは媚びないということかな。軸が定まってないから相手に合わせてしまう。でも、僕は自分がこれまでバスケットをやらせてもらうことでわかったんですけど、同じ事象でも自分の意識の持ち方でぜんぜん変わってくるんです。つまり、自分の意識やイメージが変われば、自分を変えられるのはもちろん、まわりの環境や人の意識も変えることができる。
例えば、「こんなことしたいな」と思っているプランがあるとすると、その思いが昂ぶれば昂ぶるほど「まさか」というタイミングでそれに関係する人と出会えたりとか。
川村:
そうそう、ありますよね。なんでこんなスゴイ人と出会っちゃうんだろう、というのはありますよね。
森下:
それは偶然じゃないと思うんです。自分の意識が引き寄せたんだと思うんです。だから、僕は「ファンサイト」が人と人がつながってそこにファンが生まれてくると聞いたとき、原点は自分にあると思うんです。その人自身を映し出すものが、まわりにあるものなんじゃないかって。
川村:
森下選手の周りで直接には無いかもしれないけど、関係する周辺の人のなかから誹謗中傷や陰口を言われたとき、どう対応しますか?
森下:
僕は批判されたら嬉しいんですよ。やっぱり賛否両論じゃないですか。自分のことを良いようにしか言う人しかいないというのは成長につながらないと思うし、妬みやひがみや正論やいろんな意見があるからおもしろいと思うんです。僕はアメリカに渡って最初は応援してくれてたメッセージが多かった掲示板も、年を追うと批判が書き込まれるようになったんです。するとその批判に対して、意見を言う人たちが動き始めたんです。僕は自分の掲示板だったんですけど、まったく書き込まなかったんです。そのやりとりがおもしろくって(笑)。
川村:
なるほど。
森下:
批判もまた人を動かすテーマだと思うんですよ。
川村:
確かに、そこでまた運動が起こるって言うことですよね。
森下:
だからね、掲示板の中には批判的な書き込みがあると全部消しているものがあるじゃないですか。あれは意味がわからないですね。
川村:
それは受けて立つべきですよね。
森下:
そうなんですよ。怖がる必要なんか全くなくて、そういう意見の人もいるってだけなんですよ。
川村:
きっとそれが、最初に言っていた「軸がぶれない」ということなんですよね。
森下:
僕は「とことん」という言葉が好きなんです。自分で決めたことはやりぬくということにひとつのテーマがあると思うんです。最近、パッとやってはやめ、パッとやってはやめという奴が多いと思うんですけど、自分で決めたことは自分との約束ですよね。自分自身と正直に向き合って約束したことを、簡単に裏切っていたらそれはクセになってしまうんです。クセになってしまったものが行き着く場所って、他人のせいや環境のせいにするのがごくごく自然な流れになってしまう。だから、自分に嘘をつかない、自分で決めたことをとことんやってみるというのが根本だと思いますね。
川村:
僕が思うに、ブランドってなにかといったら、自分自身や他人との約束なんですよね。モノを例えにとるのも変ですが、ルイ・ヴィトンは高級だからブランドになっているわけではなくて、どんなカバンでも必ず直すと約束しているからブランドになったのです。だから、森下選手そのものがブランディングだということがよく理解できます。それだけ森下ブランドという意識をはっきりもってるし、そこに魅力を感じていろんな人が集まってくるんだと思います。
森下:
それは誰でもできると思うんです。ちょっとした意識の持ち方とかで変わるはずなんです。いまでも、自分が落ちてるなって思う時があるんです。そういう時って、いい出会いが少ないし、電話の数も少なくなる。変に病気になったりします。
川村:
そんとき、声出していこうというのが大事だと思いません?
森下:
そうですね。そういうときこそ、人に会いに行こうとか、声を出していこうとか、自ら動き出すというところに意味があるのかなと思いますね。
川村:
そうだよね。

社長対談 第3回・プロバスケットプレーヤー 森下 雄一郎氏社長対談 第3回・プロバスケットプレーヤー 森下 雄一郎氏

森下:
あと面白いのが、僕が日本でつながりのある人ってあんまりバスケと関係ないんです。大概、業界の違う人なので、人と人とがつながるっていうのは、やってる ことは特に関係ないんじゃないかと思います。なおかつ、去年のAND1 MIXTAPE TOURまで、僕のプレーなんか見たこと無い人ばかりですからね(笑)。だから、どういう仕事をしてるとか関係なくって、その人が歩んできた道はその人そのものだと思うんです。失敗も成功もたくさんしてきた人はそれだけ魅力的になるとよく言いますけど、それは本当のことだと思います。それだけチャレンジしてきたわけだし、地位や名誉にしがみつくのではなくチャレンジし続けている人はどんな立場の人でも魅力的ですね。
川村:
自分の会社のことで恐縮ですが、ファンサイトのロゴマークは矢印が螺旋状になっています。僕は物事ってまっすぐギュッと行くことはないと思っているんですよ。そんな簡単にはいかない。でも、ちゃんと意識さえもっていれば螺旋階段を登るようにスピードは遅いけど、必ずある方向に進んでいくと思ってるんです。
森下:
なるほどなー。
川村:
それにファンになったり、ファンになってもらったりという現象を見ていると、そういう人たちは必ず熱を持っています。
森下:
僕も小学生に講演をするんですが「熱く生きろ!」と言ってます(笑)。でもね、子供の中でも熱く夢を語り合ったりすることがこっぱずかしいことになってるんです。熱く語り合うことって大事なことだと思うのに、最近はオトナが冷めてるからオトナが子供に対して熱く語らないんですよ。そんなんで、子供が熱く語れるはずがないんです。だって、子供はオトナの鏡なんだから。 最近ね、父母さんに講演することも多いんです。そうしたとき、オレはケンカを売るんですよ。するとね、ケンカを売られるとムカツクじゃないですか。それはなんかしら熱を持ってるということなんです。だからその熱をポジティブな方向に持っていってあげると、講演の最後には目の色が変わってるんですよ。それは会社を経営してるとか、サラリーマンとかなんも関係ないんですよ。
川村:
考えてみたら人生なんて本当に短い時間しかないのに、その大半を占める仕事で冷めてたら本当につまんない人生だよね。
森下:
命はあるけど生きてない人っていっぱいいますよね。
川村:
そういった意味では熱の伝導をこれからも森下選手みたいな人がやっていくしかないんだよね。人から見たら「なんだよあいつ、ピエロじゃないか」と言われちゃうかもしれないけど、でも、熱を持ってる人が熱を伝えるしか方法がないんだよね。
森下:
そうですね。この間ね、旅館に行ったらちょっと疑問に思うことがあったんで女将さんに言っちゃったんですよ。具体的にどこがどうというわけではなかったんですけど、真心(まごころ)を感じなかったんですね。ホテルはシステムが整ってて、お客さんが喜ぶサービスの仕組みも整ってる。でも、それとは違う旅館の良いところは真心じゃないですか。立派なシステムを組んだら人の心が動くのかと言ったらそうじゃないと思うんです。真心持って接することができるかどうかですよね。
川村:
それこそwebなんて全くそうだよね。企業のwebなんて確かにシステムはすごいけど、そのサイトに行っても全然おもしろくないし、企業はしっかりやってるつもりなのかもしれないけど見る方にしたら「なんだこれ」って感じだよね。それはなぜかと言ったら心がないんだよね。人ってそんなに簡単には騙せないよね。
森下:
だから、人にとって本当に大事なところってなんなのか、しっかり持っていたいと思いますね。
川村:
やり方は違うのかもしれないけど、森下選手と同じような考えをもっていることがわかって今日は安心しました。僕もだいぶいい歳になってきたんだけど、これからも熱を持ってやんちゃをし続けていこうと思います。今日はどうもありがとうございました。
森下:
こちらこそ、ありがとうございました。

お知らせ

社長対談 第3回・プロバスケットプレーヤー 森下 雄一郎氏

題字/川村隆一
表紙デザイン/安田幸世
構成/田中滋
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